麻布とは読んで字の如く、もともとは麻の布を産したことによる地名。麻布山善福寺の言い伝えによると、この地には昔麻が降ったことがあり、それを麻布留山(あさふるやま)といったのを略して麻布山としたのが地名になったとも。浅く草の生えている土地だったので浅生、変じて麻布となったという説もあります。現行の麻布の地名は元禄年間にはすでに確認されていますから、かなり古い地名のようです。
これに比べると麻布十番のいわれは新しく、元禄年間に犬公方と呼ばれた徳川綱吉が白金に別邸を建てるにあたり、川を浚渫する人足が集めらましたが、その時、この地域の人足が十番目の組に属していたため、俗称になったと伝えられています。ですから、麻布十番はあっても、九番や八番はありません。
この地域には元々東鳥居坂町、鳥居坂町、宮村町、宮下町など10余の町がありましたが、昭和40年から昭和50年の住居表示変更で大半が姿を消し、今、旧町名を残すのは麻布狸穴町、麻布永坂町だけになっています。
TokyoRentコラム
Vol.10 地名で読む街の歴史 【麻布十番編】 2006/06/20
国際色豊かなグルメと歴史の街
大江戸線開通で一気に足回りが便利になり、注目度がアップした街、麻布十番。江戸時代からすでに蕎麦や豆菓子など、おいしい食べ物で有名だったこの街は、今もその伝統を受け継ぎ、新旧、和洋を問わず名だたる飲食店が軒を連ねています。また、周辺に大使館が多いことから、インターナショナルな雰囲気もあり、その微妙なバランスが独特の雰囲気を醸し出している街でもあります。
さて、この地域の地名は江戸時代、大正、昭和とそれぞれの時代に大きく変化してきました。旧地名のほとんどは六本木、麻布十番、麻布台などに吸収され、往時の名称が残るのは、橋や交差点、お稲荷さん名など、ごくわずか。また、古川(渋谷区内は渋谷川)が中心を流れていることもあり、坂、しかも急坂が多いのが特徴。その坂の名まえからは、賑やかな今の景色とは異なる、鄙びた、自然に満ちた風情が漂ってきます。
麻布十番周辺マップ
青い短冊をクリックすると詳細がご覧になれます。
麻布、麻布十番
都内では浅草寺に次ぐ真宗の名刹、麻布山善福寺境内にある大銀杏。貞永元年(1232)、親鸞上人が京都への旅の途中に立ち寄った記念に、持っていた杖を地にさしたところ枝葉が繁茂したという言い伝えがあります。樹齢は約700年。都内最古の銀杏として国の天然記念物に指定されています。ちなみに二位は、雑司ヶ谷の鬼子母神前にあります。
ちなみにこの逆さ銀杏は現存する唯一の麻布七不思議。その他の不思議についてはコラムをご覧ください。
赤羽橋

麻布狸穴町

麻布永坂町

飯倉片町

仙台坂
けやき坂

鳥居坂

暗闇坂

芋洗坂


- 中川寛子(なかがわひろこ)
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借りる、買う、貸す、建てるなど、住まいに関する雑誌、書籍、インターネットなどの編集に携わること20数年。
長らく表参道に暮らし、都心居住の快適さを身をもって実感している。All About「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。


