小石が多い小川が幾筋もあったからという説、白山権現社(現在の白山神社)が加賀国(現在の石川県)から勧請されたためという説がありますが、定説はないようです。戦国時代は北條氏、江戸時代になってからは徳川家の菩提寺である伝通院の領地として栄え、明治時代には夏目漱石や永井荷風、幸田露伴などの文人が居を構えました。春日通り、千川通りに挟まれた高台で、富士山や東京湾、江戸川を見晴らす絶景の地だったと伝えられています。
TokyoRentコラム
Vol.34 地名で読む街の歴史【小石川・小日向・春日】 2008/06/20
小石川・小日向・春日周辺マップ
小石川(こいしかわ)
伝通院本堂。この左手奥に徳川家康の生母於大の方を始めとする徳川家の墓所がある
小日向(こひなた)
お屋敷が多いのは小日向台という台地上で、 周辺には急坂が多い
春日(かすが)
文京区役所と文京シビックセンター。25階には展望レストランがあり、都心を一望できる
茗荷谷(みょうがだに)
播磨坂(はりまざか)
播磨坂中央に設けられた遊歩道は和風、洋風と雰囲気の違う2ブロックで構成されている
富坂(とみさか)
富坂上のランドマークは中央大学理工学部。坂を折りきった辺りに文京区役所がある
安藤坂(あんどうざか)
文京区にある110余の坂のうちでも急坂といわれた安藤坂。 明治年間に改修され、現在の姿になった
後楽(こうらく)
後楽園北側地域にはなんと田んぼがあり、毎年、文京区内の小学生が5月に田植え、9月に稲刈りをしている
竹早(たけはや)
テニスコート、小石川図書館が隣接する竹早公園。壁打ちテニスのメッカでもある
変わったネーミングのいろいろ
小石川周辺のご利益スポット
本堂に近寄ってみるとお供えのこんにゃくが異彩を放つ源覚寺、別名こんにゃく閻魔
歴史のある街だからでしょう、変わった名前、由来のあるお地蔵さんが多い小石川界隈。ご利益別にいくつかご紹介しましょう。
こんにゃく閻魔(こんにゃくえんま)
駅としては春日に近い、千川通り沿いにある源覚寺は別名こんにゃく閻魔。かつて眼病を患ったおばあさんがここで願をかけたところ、目が治った。その感謝の気持ちから、大好物のこんにゃくを供えたという言い伝えがあり、ここに願をかける人はこんにゃく必携。もちろん、眼病にご利益です。もうひとつ、入り口近くにある塩地蔵は歯痛に効くそうで、こちらは塩を供えます。
唐辛子地蔵
咳に効くといわれるのが、小石川3丁目にある福聚院内の唐辛子地蔵。唐辛子をつないだネックレスをしていらっしゃいます。こちらは咳で悩んでいたおばあさんが唐辛子を食べ続けて死んでしまい、それを哀れんだ人々がお地蔵さんを作り、唐辛子を供えたもの。ぜんそくにご利益があるといわれ、治ったお礼は唐辛子です。
縛られ地蔵
探し物があるときにすがるのが、茗荷谷近く、小日向の林泉寺内にある縛られ地蔵。
探し物があるときなどにお地蔵様に縄をかけ、見つかったときには縄を解くそうで、人間の勝手な願望に振り回されるお地蔵様がかわいそうな気もします……。
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【文・構成】
- 中川寛子(なかがわひろこ)
- 借りる、買う、貸す、建てるなど、住まいに関する雑誌、書籍、インターネットなどの編集に携わること20数年。長らく表参道に暮らし、都心居住の快適さを身をもって実感している。All About「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。