2000年代の住まいのIT事情をチェック

物件概要を見ると、「24時間高速インターネット接続可」「インターネットマンション」などIT関係の言葉が目につくようになっています。また本来、別のものだったインターネット通信とテレビ放送が、ブロードバンドの普及にともない、融合が進み、それぞれの意味が分かりにくくなっています。ここでは、そんな融合事情から、最新の情報を見ていきましょう。

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インターネット

新築を中心に光ファイバーが主流に、中古では物件ごとに確認が必要

インターネットは、通信速度によって電話回線、ISDNといったナローバンドと、ADSLや光ファイバーといったブロードバンドの2つに分けられます。現在、インターネット利用者の3人に1人はブロードバンド利用者と言われ、定額料金での高速かつ常時接続は必須の時代となりました。中でも、ブロードバンドの本命と言われるのが、速度・安定性において最も優れた光ファイバーで、主要都市を中心に急速に普及しています。

光ファイバーの導入方法には、占有型、共有型、マンション型の3タイプがあり、集合住宅や複合ビルの場合は、建物内の複数世帯で光ファイバーを共用するマンション型を採用することで、安価な月額料金で利用することができます。マンション型では、光ファイバーは建物の共用部までしか引けないので、各部屋への配線はLANケーブルを利用するLAN方式か、電話線を利用するVDSL方式になります。最近の新築マンションでは、下り上りとも速度が落ちないLAN方式を採用することが多く、また各居室では、TVアンテナ口、電話線、LANなどの配線を集約したマルチメディアコンセントにすっきり収められています。

マルチメディアコンセント

また、建設時にインターネット配線が行われなかった物件では、何が利用できるのかが異なりますから、確認が必要です。とはいえ、最近では入居者やオーナーの要望が強まり、既築マンションをブロードバンド化する事業は盛んに行われており、また個別の場合でも、ADSLはもちろん、オーナーの許可さえ得られれば、光ファイバーを導入することも可能です。

光ファイバー導入方法

タイプ説明メリット・デメリット
占有型一本の光ファイバーを引き込み、1契約者で利用できる高速で大容量の通信が可能だが、利用料金が高い
共有型一本の光ファイバーを複数の住宅で共有する利用料金は安価だが、複数のユーザーが同時接続した場合、通信速度が低下する
マンション型集合住宅が対象。光ファイバーを建物の共有部まで引き込み、各住戸に分配する利用料金は安価だが、複数のユーザーが同時接続した場合、通信速度が低下する。またオーナーあるいは管理組合等の許可が必要

テレビ放送

発信元によって地上系、衛星放送の2種類

テレビ放送はどこから電波を送るかによって、地上系、衛星放送の2種類に分けられます。地上系は山頂や電波塔に設置された送信所から送信。衛星放送は赤道上にある静止衛星に中継器を置き、地上から送られた電波を地球上に向けて再送信するというものです。 さらに衛星放送は放送衛星を使うBS、通信衛星を使うCSの2種類に分けられます。CSの場合には、衛星の位置が110度にある110°CSと呼ばれる放送もあります。

また、いずれの放送にも方式としてアナログとデジタルがあり、CS→BS→地上波の順にアナログ放送に加えてデジタル放送が始まりました。デジタル放送は、アナログ放送に比べ、多くのデータをやりとりできるため、高画質・高音質、多チャンネル化、ネットとの連携といった特徴があります。CSにはすでにアナログはありませんし、その他も、いずれはデジタル放送に一本化されていくものと思われます。

地上テレビ放送は2011年までにすべてデジタルに

最近、よく話題になる地上デジタルテレビ放送は現在使われているアナログ放送をすべてデジタルに変えようというもので、デジタル化自体はすでに始まっています。現在はアナログ放送も同時に行われているので、受信機を変えずとも、これまでと同じように視聴できますが、地上アナログ放送が終了する平成23年(2011年)7月24日以降は見られなくなります。

地上デジタルテレビ放送を視聴するためには、この放送に対応したテレビまたはチューナーとUHFアンテナを用意する、あるいは再配信してくれるケーブルテレビに加入することが必要です。数年以上居住するつもりであれば、どういった形で対応しているのかを聞いてみるといいでしょう。

ところで、地上デジタルテレビ放送のメリットは画質の良さと電波障害の解消だけではありません。道路や天気などのデータを入手する、テレビからネットを経由してクイズ番組に参加する、テレビショッピングをする等の双方向性のサービスも利用できるようになるのだとか。音声速度を遅くしたり、点字操作が行えるようになる等、高齢者や障害者に優しいサービスも予定されています。

地上波デジタル放送のメリット

  • 高画質・高音質
  • 多チャンネル化
  • 番組ガイド
  • データ放送
  • 双方向
  • ネットとの連携
  • 字幕放送、解説放送など
  • モバイルで番組受信

衛星放送はどこの番組が見られるかがポイント

衛星放送は送信に用いる衛星の種類で名称が分かれますが、大事なのは名称ではなく、どんな番組が見られるか、ということ。代表的な例を挙げるとすると、CSはスカパー!(スカイパーフェクTV)、そしてBSはNHK、そしてWOWOW。料金的にはそれほど大きな差はありませんが、映画、音楽、スポーツ等、どのジャンルに強いのか、映画だったら、どんな映画が多いのか等、それぞれ特徴がありますので、見たい番組があるなら、見られる設備の付いた物件かどうかが大事になってきます。

CATV(ケーブルテレビ)

CATVならすべての番組を見られることも

ところで、衛星放送の受信システムには共同受信方式と直接受信方式の2種類があります。共同受信方式は各地域ごとに1つの地上受信局で受信して、地上波またはCATVで再送信するもの。もうひとつの直接受信方式は各家庭や建物でアンテナ、受信機を設置して、個別に受信するものです。

ここでCATVが出てきます。日本では1970年台から難視聴解消のために使われてきた共同受信設備をCATVと呼んできましたが、これが年々進化を続け、今では上記の衛星放送を受信、再送信するようになっているのです。つまり、CATV会社の大型アンテナが家庭のアンテナに代わり、多チャンネルの衛星放送をまとめて受信してくれるので、多くのプログラムを楽しめるというわけです。また、三重県ではCATVが関与することで地上デジタルテレビ放送がいち早く県全域で見られるようになるなど、デジタル化、地上デジタルテレビ放送への取り組みも進んでいます。

CATVも光ファイバー化へ

CATVでそこにケーブルがあれば、伝えられるのは映像だけではありません。データを送れるのは当然で、インターネットにもアクセスできるのです。そして、音声もまた、伝えられます。これがIP電話です。つまり、今どきのCATVは放送と通信を融合、ひとつであらゆることをやってのける存在になっているのです。

また、従来、CATVは同軸ケーブルを利用して送信を行っていましたが、最近では光ファイバーケーブルを導入する例が増加。よりキレイな画像、音声が送れるようになり、データ転送効率も高くなっています。
一般的には、オーナー側がマンション全体にあらかじめCATVを導入し、入居者は入居後、個別に各サービスを選択し契約するというケースが多いようです。

現状と注意点

物件によって設備が混在、サービスの内容チェックをお忘れなく

さて、現時点ではインターネットでの光ファイバー導入は一般的になってきているとはいえるものの、テレビ放送では地上波、BS、CS、CATVと、物件や地域によって設備も利用できるサービスも様々。最近よく聞く「ピカパー!」とは、スカパーのほぼ全チャンネルを光ファイバーを利用して見るサービスです。いずれも、利用料金含め、個別に確認する必要があります。

近い将来、インフラの中心となるのは光ファイバーと言われています。今後、光ファイバーが整備されていけば、インターネットやIP電話利用はもちろん、すでに始まっているオンデマンドでのTV・ビデオ視聴やIPテレビ電話やポッドキャスティング(音声のブログ)も一般的になるでしょうし、地上デジタルテレビ放送のIP配信も動き出しています。そうなれば、前述した地上デジタルテレビ放送のメリットを多くの人が享受できるようになるでしょう。また、簡単に画像や映像を送れるようになれば、その技術は家事から防犯まで、生活面の多岐に及んでいくでしょう。しかし、現在はまだ過渡期。それだけに、何ができるのか、自分に何が必要なのかを見定める目を持ちたいものです。

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