都心の下町、グルメの聖地「神楽坂」
都心の交通の要所でありながら、下町の風情を残す神楽坂は、ここ2~3年、急に注目度がアップ。デートや観光スポットとして人気を集めています。しかし、一度二度訪ねただけでは分からない奥深さが、この街の本当の魅力。住む視点で、神楽坂の魅力に迫ってみましょう。
地下鉄、鉄道に車、何を利用しても便利な街
神楽坂からは東京メトロ東西線、同大江戸線、隣接する飯田橋からは加えて、東京メトロ有楽町線に、JRと複数路線が使える立地が、この街の第一の特徴。長らく、大久保通り周辺など、バス便利用の地域も多く残されていましたが、2000年の大江戸線の開業に伴い、その不便さが解消されています。もちろん、バス便はいまも運行されていますし、外堀通り、大久保通り、早稲田通りに首都高5号池袋線飯田橋ICなども近いため、車利用にも便利な立地です。
独特の風情とクロスオーバーな飲食店、商店街
都心に近い便利さから、神楽坂は江戸時代から繁華な場所でした。繁栄のきっかけとなったのは明暦3年(1657年)の明暦の大火、いわゆる振袖火事。被災後、多くの武家屋敷が坂の両側に転居、さらに、今も神楽坂のランドマークとなっている毘沙門天善國寺が移転してからは、江戸でも一二を争う、参詣客を集める人気スポットだったとか。今に残る、石畳の街並み、花街の風情もこの時期に作られています。
しかし、それだけではないのが、神楽坂のおもしろいところ。江戸時代からの風情、老舗はもちろん、数多く残されていますが、イタリアンやフレンチの名店も多く、東京の激戦区のひとつと言われるほどですし、今風のカフェやモロッコ料理店なども。種類の豊富さに加え、一見さんお断りの料亭から、チェーンの居酒屋まで、価格的にも幅があり、その時々の気分で、いつでも誰でも楽しめる懐の深さがあるのです。
商店街も同様です。チーズやワインの品揃えにびっくりさせられるスーパーがあるかと思えば、昔ながらの雑貨屋さんや、手作りのお惣菜屋さんなども揃っているので、買いたいものに合わせて店が選べるのです。吉野葛や塗り物、お香の専門店など、他ではなかなか見つけられないような店があるのも、驚きのひとつです。
病院、学校に、各種教室の多さも特筆もの
飯田橋駅の近くには東京厚生年金病院、東京警察病院、日本医科大学付属病院、市谷方面に向かうと東京逓信病院と、この地域は大きな病院が多いことでも有名。診療科目が多いだけではなく、救急指定の病院ばかりでもあり、子どもや高齢者のいる家庭なら、安心な地域です。
学校の多さも目を見張るほど。飯田橋から九段下、四谷までの地域内で見ても、東京理科大学、法政大学、日本歯科大学、大妻女子大学、二松学舎大学、暁星学園、和洋学園、白百合学園、女子学院中・高など枚挙にいとまがありません。公立ながら、難関大学への入学実績を目標に掲げる、千代田区立の中高一貫校、九段中等教育学校もこの一画にあります。
もうひとつ、歴史、住民の文化レベルの高さを感じるのは踊りや絵画、音楽その他の教室の多さ。数は減ったとはいえ、芸者衆のいる街ですから、仕舞や小唄など、伝統的な習い事はもちろん、生け花、茶道にフラワーアレンジメント、陶芸教室、フラダンス、バレエなど、こちらも何でもござれ。この街に住んだら、生活の新しい楽しみを発見できる可能性大なのです。
また、お堀端や靖国神社など、少し足を伸ばせば、水辺や緑が楽しめるのも、忘れられがちですが、見逃せないところです。
地元を愛する人々の意識が賑やかで、でも安全な街を実現
もうひとつ、多いのがお祭りやイベントの類。7月に行われる神楽坂まつりには数万人以上が集まりますし、10月にはアートイベントもあり、周辺の神社、町内会、商店街などの祭り等を入れると、いつも何かしら、行われているといってもいいほど。
これを支えているのが、この街に住む人の、街への愛情です。神楽坂には5つの商店街があり、数百店以上が加盟していますが、その多くは個人経営。大資本のチェーン店も増えてはいるものの、古くからここに住み続けてきたり、ここを愛し続けてきた個人が多いのです。
そのため、この街には街の活性化のための団体、NPOなどがいくつもあり、熱心に活動を続けています。イベントを開催するだけでなく、清掃や、防犯面にも気を配っているため、繁華な場所であるにも関わらず、都心の中では比較的安全な街と言われる神楽坂。この街でなら、安全で快適、しかも、毎日楽しい暮らしが実現できるはずでしょう。