都心の便利さと第一種低層住居専用地域の環境の良さ、2つの魅力を備えた、歴史ある高台の邸宅街「御殿山」
品川区(一部港区)の5つの高台を称して城南五山と呼びます。いずれも江戸時代、明治時代に大名、財閥の屋敷があった地で、そのうち、御殿山はもっとも海沿い、旧東海道沿いに位置しています。住居表示上に御殿山という地名はなく、現在の地名としては、品川区北品川3丁目~5丁目。具体的には第一京浜、八つ山通り(通称ソニー通り)、目黒川に囲まれた三角地帯の内部です。
坂の上には今も風格ある住宅が
さて、御殿山と言えば、まず思い浮かぶのは、高台に位置する、歴史のあるお屋敷街ということ。ただ、幕末以降、お台場築造や鉄道建設などのために山は削られ、姿を変えてきました。しかし、注意深く歩いてみると、本当に高台の、住宅に向いた土地であることが分かります。たとえば、第一京浜沿いにある品川神社に上ってみると、土地の高さがよく分かります。
その品川神社の脇から坂道を上ると、御殿山です。坂の途中には、小さな工場や一戸建て、古いマンションなどが並んでいますが、坂を上りきると風景は一変します。区画の大きな、日当たりの良い土地に建てられているのは、低層のゆったりしたマンションばかり。坂の途中の、庶民的な雰囲気とは異なり、どこか風格さえ感じられます。それもそのはず、このあたりは、かつての徳川将軍家の別邸、品川御殿があったとされる場所。現町名で言えば、北品川3丁目5番地周辺です。
お屋敷に大使館、美術館…、歴史の雰囲気がそこそこに
御殿跡地と、JRの線路を挟んで向かいあうのが、北品川4丁目。品川寄りには御殿山ヒルズがそびえ立ち、その足元から五反田方向に向けてが現在、御殿山と言われる地域の中心になります。元々は北品川3丁目と一続きの高台でしたが、明治時代の鉄道建設によって、分断されてしまったのです。
御殿山ヒルズの脇はごく緩やかな坂になっており、両側には桜並木が続きます。かつての御殿山は桜の名所として知られていたそうですが、その名残で、季節になると、散策の楽しい道です。
その並木の途切れるあたりからは、大きなお屋敷や大使館などが目につき始めます。中でも昭和初期のお屋敷の風情を今に伝えるものとして有名なのが、帝都高速度交通営団の初代総裁を務めた原邦造旧居を利用した、原美術館。この原美術館のある北品川4丁目から5丁目にかけては、江戸時代には鳥取藩池田家の下屋敷、明治時代には三井物産創立者益田家の屋敷があったなど、由緒あるお屋敷街。今も歴史を感じさせる造りの日本家屋や洋館が残っています。もちろん、第一種低層住宅専用地域で、高い建物はありません。
静かで明るい、安全な住環境に、ファミリーにも、グルメにもうれしい立地
歩いてみると、通るのは住んでいる人の車と宅配業者さんのトラックだけで、いたって静か。意識の高い住民が多いのでしょう、ゴミが放置されている場所はなく、どの家も植栽などの手入れが行き届いています。犯罪はだらしのない雰囲気の街に起こりやすいものですが、その意味では、御殿山は不審者には近寄りにくい街のようです。
また、区画の大きい一戸建てが中心で、高い建物がないため、どの住宅も日当たりが良い点も魅力のひとつ。都心近くで、でも徹底的に住環境にこだわりたい人であれば、この地は理想かもしれません。幸い、ここ数年、このエリアではマンションが増加、借りやすくなっています。特にこの地にふさわしい、サービスや設備にこだわったハイグレードな低層マンションが揃っています。
もうひとつ、ファミリーなら品川区独自の教育施策も気になるのでは。品川区では平成18年度から、小中学校9年間を一貫したカリキュラムで系統的に編成した小中一貫教育を開始。小中一貫校も登場しており、公立学校の教育レベルの高さは定評のあるところです。それ以外でも、早くから独自の防犯ブザーを開発、区内の子どもに配布するなどの施策も実施しており、子どもの教育、防犯に関心がある家族なら、品川区は住むに値する地域のはずです。
最後に、足回りや生活の利便性を。最寄り駅は、品川、大崎、多少遠くなって五反田などで、いずれもタクシーなら1000円以内。新幹線も利用できる品川は、駅周辺にスーパーや百貨店が揃い、外食や遊びのスポットにも事欠きません。大崎は2007年秋オープンを目指して再開発が進められており、一層の便利さアップに期待がかかるところ。飲食店の多い五反田には、こじんまりした隠れ家的なレストランも多く、グルメには楽しみな場所。こうした、三駅三様の個性を使い分けられるのも、御殿山に住む魅力のひとつかもしれません。