日々変化する東京。その結果、これまで住宅エリアとしてあまり知られていなかった場所に住宅が誕生する例もしばしば見受けられますが、特に最近目立つのは千代田区の皇居周辺エリア。同じ千代田区でも供給の多かった神田、秋葉原エリアなどとは異なり、静謐な環境が特徴です。
皇居、国会議事堂近接エリアに希少性ある住宅が登場
れまでほとんど住宅が供給されてこなかった皇居周辺に、ここ1~2年、物件が登場しています。その代表例とも言えるのが2009年12月に竣工した「平河町森タワーレジデンス」。最高裁判所を挟んで皇居と向かい合う、24階建てのタワーです。
皇居は地図で見ると分かるように、丸の内、大手町のオフィス街、霞ヶ関、永田町といった官庁街、千鳥ヶ淵や北の丸などの公園に囲まれており、新しく建物が建つ余地はきわめて少ないエリア。また、建つとしてもこれまでは比較的規模の小さなオフィスメインの建物が多く、いわゆるタワーマンションは数えるほどでしたから、この物件は希少性の高い存在といえます。
物件がある平河町は最高裁判所、国立劇場などがある隼町、ホテルニューオータニやグランドプリンスホテル赤坂などが並ぶ紀尾井町に挟まれた場所にあり、国道246号を挟んで向かいは永田町という立地。1キロ圏内には霞ヶ関の官庁街があり、2キロ圏内には大手町、丸の内、赤坂、六本木がある、東京の心臓部とも言えるロケーションです。
地名はかつて大田道灌が江戸城本丸内に創建した平河神社にちなんだもので、平河天満宮はその後、徳川家康入府にあたって本丸修築のために平川門外に移転、慶長11年(1606)に平河町1丁目に遷座され、現在も街の中心となっています。その門前である平河町は江戸時代には旗本屋敷などが並ぶ武家地で、その名残からか、平河町町内には都道府県会館、砂防会館、日本青年会議所会館などの会館が目につきます。同じ千代田区でも職人を中心とする町人地が多かった神田や秋葉原と比べると、落ち着いた雰囲気があるのは、その歴史によるものかもしれません。
東京都心部を一望、ここにしかない風景を楽しむ
さて、平河町森タワーは建物2階から13階までがオフィスとなっており、レジデンスは建物の14階から23階。当然ながらどの部屋も眺望は素晴らしいのですが、特筆したいのは皇居のある東側。この向きの住戸ではリビング、寝室などから皇居の緑、そしてその向こうに銀座や丸の内のビルが望め、まさに東京都心部一望の図が広がるのです。都心部には他にもタワーは数多くありますが、皇居の緑がすぐ目の前に広がるロケーションはそうそうあるものではありません。
さらにその眺望を満喫できるのは屋上に設けられたオープンデッキ。2ヶ所のうち、皇居、国会議事堂側に向いたオープンデッキでは、国会議事堂を目の前に見ながら足湯を楽しむこともでき、実に開放的な空間となっています。オープンエアの下、バーベキューも楽しめます。また、同じフロアには鉄板焼きのできるキッチンを備えたスカイラウンジがあり、シェフを呼んでのパーティーなどが楽しめます。このフロアにはもうひとつ、ストーンスパが楽しめるリラックスルームも用意されています。
隠れ家的な雰囲気もこのエリアの特徴
間取りの中心は1LDK、2LDKで、総戸数は122戸(うち約70戸が賃貸)。港区のタワーマンションなどと比べると小規模で、これは皇居周辺エリアに共通する特徴のひとつ。現在、このエリアでは平河町のほか、麹町大通りを挟んで反対側の番町、さらに九段よりの北の丸などでマンションが供給されていますが、規模は大きくても120戸前後までが多く、隠れ家的な雰囲気なのです。
というのは、エリア自体が赤坂や六本木のように24時間起きている街というわけではないため。もちろん、ほんの少し出れば銀座、赤坂、六本木などがありますから、24時間仕事をすることも、遊ぶことも可能ですが、このエリア自体はそうした喧騒とは無縁。仕事や日常の雑事を離れ、静かに英気を養うための街といった風情なのです。
また、皇居周辺の圧倒的な緑が近くにあるためでしょうか、植栽や屋上緑化、エコ仕様の設備導入など環境への配慮を行い、CASBEEのSクラスの公式認証を取得しているのももうひとつの特徴。このエリアであれば、都会のど真ん中でありながら、自然や四季も感じられる生活が送れるというわけです。
取材物件・取材協力
【取材物件】平河町森タワーレジデンス
【取材協力】森ビル株式会社