再開発計画目白押しの虎ノ門~神谷町エリアに新たなヒルズが誕生します。 都心を望む緑の高台、静かで文化的な環境の地に生まれるのは、地上47階、個性的な外観のタワーです。このうち、3階から24階までには243戸のレジデンスが用意され、話題を集めていますが、今回はこの場所の由来、立地、環境などをご紹介します。
愛宕山、城山そして仙石山、古くからの高台は地盤強固な歴史の地
東京都心部の地形は起伏に富んでいるのが特徴ですが、近年開発の進む虎ノ門~神谷町界隈もその典型。桜田通りの神谷町付近はかつて西ノ久保と呼ばれた低地で、その東に愛宕神社、西に城山、そして今回ご紹介する仙石山という高台があり、比高は20m近くある場所も。桜田通りから坂を上って仙石山に至ると、一気に視界が開け、目の前に東京タワーが姿を現すことからもその高さが分かります。ここは約15万年~7万年前にできた都心では最も古く、強固な土地なのです。
仙石山という地名は江戸時代、ここに但馬国(現在の兵庫県)出石藩仙石家の屋敷があったことに由来します。その後、関東大震災前までは華族となった仙石邸があり、地元の町会の防護團(戦時下の消防団のような組織)は昭和13年に町内の中心地に地名を刻んだ碑を建てています。平成元年から進められてきた街づくりに関する協議ではこうした地元の意向を優先、物件名に地名を残すことになったといいます。
緑と起伏を生かし、自然、環境に配慮したプランニング
このエリアは仙石邸のみならず、物件隣接地にかつて東久邇宮邸があったなど皇族、華族の屋敷があった住宅街。そのため、現地から見下ろすと周囲には緑が多く、また、幹線道路から少し入っているため、非常に静かです。今回の再開発では元々の恵まれた住環境をより生かすよう、敷地内に多くの植栽を配し、緑被率は30%。特に生物多様性に配慮、JHEP(日本生態系協会)から日本初、最高ランクであるAAAを取得しています。
同時に環境にも配慮、敷地、屋内の緑化、LED照明の採用、太陽光発電装置の設置その他に取組み、環境性能評価の指標である「CASBEE」では最高ランクSを取得しています。緑と静けさに加え、独特なのは明治以降、各国の大使館などが置かれることで培われてきた国際的な雰囲気でしょう。
1986年にアークヒルズが誕生してからはこの周辺で働き、居住する欧米人がさらに増え、改めてインターナショナルという言葉を出さずとも、ごく自然に国籍の違う人が互いに快適に暮らせる環境が生まれてきているのです。もうひとつ、アークヒルズ内のサントリーホールや大倉集古館や泉屋博古館などをはじめとする、芸術、文化的な施設の充実もこのエリアに住む魅力のひとつです。
26年目のアークヒルズは地域の連携を深めるエリアマネジメントへ
日本初の民間による大規模複合再開発アークヒルズから26年。森ビルが今、目指しているのは単体の施設だけでなく、エリア全体の将来を見据えた開発であり、連携であるといいます。
「アークヒルズ周辺エリアではアークヒルズ 仙石山森タワーに続き、21・25森ビル建替計画(2013年9月竣工)、環状第2号線プロジェクト(2014年5月竣工)をはじめ、森ビル以外の様々なプロジェクトも進行しています。国際的都市間の競争が激しくなっていく今後を考え、世界中の人や企業がここに住みたい、働きたいと思う街づくりが弊社がこのエリアに貢献できることの一つと考えています」(森ビル広報室 秋田朋宏氏)。
大きな開発プロジェクトだけではなく、エリア全体の活性化に向けて様々な取り組みも始まっています。たとえば、昨年アークヒルズ25周年を機に行った「アークヒルズ音楽週間」では、サントリーホールを中心に、周辺施設でも音楽イベントが開かれましたし、春には、桜並木のライトアップが時期をあわせて泉ガーデンの並木道でも行われるなど、このエリアを訪れる方を楽しませる工夫も行われています。「アークヒルズ 仙石山森タワー」は、このエリアの核となる存在。住民や企業などが連携していくエリアマネジメントが、このエリアを魅力的にしていくといえそうです。
取材物件・取材協力
【取材物件】アークヒルズ 仙石山レジデンス
【取材協力】森ビル株式会社