大学、病院、書店などが集まるインテリジェンスある街
日本のカルチェ・ラタンと言う声も
学生街自体は日本のあちこちにありますが、その中でも有数の規模を誇るのが御茶ノ水・神田界隈です。明治大学、理工学部を始めとする日本大学各学部、共立女子大学、東京医科歯科大学、順天堂大学などが集まっており、私立高校その他も入れると、街行く人のかなりの数が学生と学校関係者。千代田区観光協会によると人呼んで日本のカルチェ・ラタン(パリ市内の学生街)なのだとか。 多く集まっているのは大学だけではありません。大学病院を始めとした総合病院も多く、健康を気にする人には安心なエリアのひとつでしょう。明治時代、学生たちが使い終わった教科書を売ったことから発展した古書店街も日本一、人によっては世界一という規模。古書店約170軒、新刊書店約30軒が集まっており、様々な専門書店があります。文化的な施設という意味ではミニシアターブームの火付け役となった岩波ホールもこの街ならではの施設です。 やはり、学生が多いからでしょう、明大通り沿いには楽器店が集まっていますし、小川町にはスポーツ用品店街が。趣味の多い人には誘惑の多い街と言えます。
歴史、伝統を感じる風物、味わいも
学生街ならではの若々しい賑わいだけではなく、歴史、伝統をも味わえるのがこのエリアの魅力です。江戸の総鎮守であり、商売繁盛の神として、1300年以上も江戸を守ってきました神田明神はその代表格。格式ある神社でありながら、早くから婚活イベントを行い、漫画、ドラマ、アニメなどとのコラボレーションをしてきた先取の精神はこの街の気風なのかもしれません。神田明神以外にも湯島聖堂、ニコライ堂、山の上ホテルなど散策の楽しいスポットが点在しています。 また、建物だけでなく、味の上でも歴史を感じさせる神田須田町のような一画も残っています。このエリアには江戸時代末期創業の鮟鱇鍋店を始め、明治、大正から続く老舗が多く、タイムスリップした気分になれるのです。ちなみに神保町に中華料理店が多いのは明治時代に中国人留学生が学ぶ予備学校があったため。早くから上海蟹を入れていた店などもあり、こちらでも季節の味を楽しめます。
新たな複合施設が多様化へのきっかけに
その歴史ある街が近年、多様化し始めています。きっかけとなったのは2013年に誕生した御茶ノ水ソラシティ、ワテラスという2つの複合施設。これまで住宅街として認識されることの少なかった御茶ノ水に300戸を超す住宅が生まれ、併せてスーパー、コミュニティ施設などが作られ、住む街として意識されるようになったのです。 千代田区は高校卒業時までの子どもに医療費助成を行うなど手厚い子育て支援策で知られており、子育てしやすい街のひとつ。仕事との両立を考えると便利な立地でもあり、今後、さらに人気がでてきそうです。