西側の台地と東側の低地。
台地には坂が多く、平坦な低地では地震、水害に注意
西側の台地には90近い坂が点在
港区の地形は秩父山麓に端を発する武蔵野台地の末端にあたる西側の台地と、東京湾沿いに広がる東側の低地に2大別されます。
標高の低いところだと浜松町駅近くの1m未満、高いところだと北青山あたりの30m以上があり、高低差は30m以上。区内に坂が多いのも当然で、港区のホームページには86カ所もの名のついた坂が掲載されているほどです。
港区の標高図
(外部リンク:国土交通省国土地理院)
港区の坂
(参考:港区ホームページ)
急傾斜地もあるものの、実害は予測しづらい
坂があるということは急傾斜地もあるということを意味します。港区では芝地区、麻布・赤坂地区、芝・高輪地区などと地域を分けて土砂災害ハザードマップを作っており、23区内のうちでは比較的危険な地域が多い地域といえます。
ただ、区内で住宅を借りて住むという観点で考えると、心配するほどの影響はないでしょう。たとえば、芝地域でもっとも範囲の広い土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域は愛宕神社周辺ですが、急傾斜は誰の目にも明らか。その区域内に住宅を借りて住むのであれば危険もあり得ますが、実際にはそうした住宅はありません。
ただ、地震が起きた時には危険地域が崩れる可能性があるので発災時に近づかないようにすることは大事。危険区域を知っておくことはそのために役立ちます。
港区土砂災害ハザードマップ
JR線沿いから海側は地震時に注意
坂の多い台地上の危険は主に土砂災害ですが、平坦な低地には地震、水害などさまざまな危険が予測されており、港区では多くのハザードマップを作っています。
まず、地震に関しては揺れやすさマップ、液状化マップの2種類があり、東京都の地震に関する地域危険度測定調査(おおよそ5年に一度更新。最新は第9回)と合わせると3種類のハザードマップが参考になります。
揺れやすさマップ、液状化マップで揺れやすい場所、液状化が予測される場所は重なる部分も多くなっています。かつての東海道が海沿いを走っており、それが現在の山手線、京浜東北線などのJR線と重なると考えるとJR沿線、そこより海側に揺れやすい、液状化しやすい土地があることはご理解いただけるでしょう。
また、台地の中には古川(新宿御苑から流れ出し、上流は渋谷川。天現寺から東京湾までが古川)などの河川が削った谷が点在しており、そうしたところも揺れやすく、液状化しやすくなっています。
港区の川
(参考:港区ホームページ)
港区揺れやすさマップ・液状化マップ
東京危険度マップ
建物への影響は少ないはずだが、備えは必要
ただ、いずれの場合も法令を遵守して建てられているRC造であれば揺れはしてもそれ以上の被害はあまり考えられません。とはいえ、停電でエレベーターが止まる、液状化などでライフラインが影響を受けることなどは十分考えられるので備えは必要です。
港区には明治神宮外苑、有栖川宮記念公園、聖心女子学院などが広域避難場所に指定されていますが、浜松町、芝公園、虎ノ門、麻布台、元麻布、赤坂、南青山、芝浦など広範な地域が火災、延焼の危険がないとして地区内残留地区となっています。そうした場所では在宅避難が基本とされますので、しばらくは住戸内に留まって生活できるようにしておきたいところです。
避難場所等指定図
台地の中にも低地あり。注意しよう
水害に関しては浸水ハザードマップ、津波ハザードマップ、高潮浸水ハザードマップが作られており、やはり、海沿いに危険区域があります。津波に関しては防潮堤が被害を受けた場合に被害が出ると想定されており、そうでなければ被害には繋がらないようです。
1点、水害について注意したいのは前述した古川沿いに低地があり、その周辺も浸水する可能性があるという点。住宅内部に浸水することはないにしても発災後しばらくは影響があることを考え、地震同様に備えておきたいところです。