立地はもちろん、充実した共用スペースやコンシェルジュサービスなど、憧れる人も多い都心高額物件。そこに、もうひとつ、気になるキーワードが加わりました。それがエコ。分譲ではすでに始まっているものの、賃貸では端緒についたばかりの、環境に優しい住まいへの取り組みです。都心高額物件のこれからを予感させる配慮の数々を、この秋、お堀近くに誕生した「千鳥ヶ淵ハウス」に見てきました。
千鳥ヶ淵からの風を使って、エネルギー消費を抑制
千鳥ヶ淵の豊富な緑と水を望む地に建つ「千鳥ヶ淵」。エントランスホールを入ると、そこは13階まで吹き抜けになった大空間。圧倒的な存在感に驚かされますが、このアトリウムには、見た目のすばらしさに加え、エネルギー消費を抑制するための工夫があります。
それは、このアトリウム自体が自然エネルギーを利用した空調システムになっていること。エントランスの反対側には千鳥ヶ淵戦没者墓苑があるのですが、その木陰を抜けた涼しい風が建物の地下を抜け、エントランスホールに到達、そこから自然の温度差によって上昇するという仕組みなのです。このため、空調はエントランスホールの床から3mまでで済むことになり、エネルギー消費が抑えられます。
また、共用廊下はこのアトリウムに面しているため、自然光が入る空間となり、ここでも電気の消費量が抑えられます。
住戸内がオール電化になっているのも、電力消費への配慮。空気の熱を利用するため、電力消費が通常の3分の1ほどで済む給湯システム、エコキュートなどが導入されています。設備ではごみ削減効果のあるディスポーザーも目につくところです。
環境にやさしい、長持ちする建物で快適空間を実現
頻繁な建替えを必要としない、長持ちする建物は、それだけで環境に優しい存在です。そのため、「千鳥ヶ淵ハウス」では、地震に強い免震構造を取り入れ、高強度コンクリートを利用するなど、建物の強度を最大限に高めています。
もうひとつ、長く使い続けられる建物であるためには、給排水管のメンテナンスや間取り変更が容易であることも大事な要素です。コンクリートに問題がなくても、給排水管が使えなくなるなどで、建物全体が使えなくなる可能性があるからです。間取り変更が容易であれば、住む人や建物の用途が変わっても使い続けられるからです。そこで「千鳥ヶ淵ハウス」はスケルトンインフィル(SI)方式※を取り入れて、そうした問題もクリアしています。
この方式はまた、住む人にうれしい結果ももたらしています。それは天井の高さ。間取りの可変性を考慮した建物では、階高※を高くとります。階高が高くなれば、それに伴って天井も高くなり、開放的な空間が生まれます。実際、「千鳥ヶ淵ハウス」では一番高い13階の最高部で3.1m、それ以外の階でも最高部は2.7mという天井高となっており、室内の広がりをより感じさせてくれます。つまり、環境への配慮が、結果として、快適な空間につながっているというわけです。
※建物のスケルトン部分(柱・梁・床などの構造躯体)とインフィル(住戸内の内装・設備等)部分を分離した方式
※床下のスラブから天井のスラブまでの高さ(もしくは下階の床面から上階の床面までの高さ)のこと。建物の1階層分の高さを指す。高いほうが、天井を高く、床や天井を二重にでき、快適
景観に配慮、周囲に馴染む建物で各部屋からの眺望も確保
景観はその土地の歴史を伝える、社会の財産ともいえる存在です。環境の大きな要素でもありますから、これを守り、尊重することは、社会に対する責任と言えます。そこで、「千鳥ヶ淵ハウス」では、建物を屏風のように見える雁行型にし、周囲に与える圧迫感をできるだけ減らし、景観に溶け込む配慮をしています。
この、住戸をずらして配する雁行型には、すべての住戸が角部屋になるというメリットもあります。どの部屋でも同様に眺望や採光が得られますし、プライバシーも確保されますから、景観だけでなく、住む人にも優しい形状なのです。
こうした環境や景観への行き届いた心遣いは、室内、建物内のデザインや設備などにも及んでおり、統一された美意識を感じることができます。室内の見た目が住む人にとっての環境と考えると、当然といえば当然でしょうが、「千鳥ヶ淵ハウス」での徹底ぶりは一見の価値ありです。
誰もが憧れる都心暮らし。しかし、その暮らしを享受できるのは、一部の限れられた人だけです。であれば、都心に住む、選ばれた人には、都心の環境に関心を持ち、大事にする責任があるのではないでしょうか。そのためには、環境に優しい住まいを選ぶことも、ひとつの方法かもしれません。
取材物件・取材協力
【取材物件】千鳥ヶ淵ハウス
【取材協力】株式会社ケン・プロパティマネジメント