2012年4月、渋谷駅東口に地上34階、地下4階の高層複合施設渋谷ヒカリエが誕生、話題を集めています。しかし、これはほんの始まり。渋谷駅周辺には駅の移動、高層ビル群の建設など開発計画が目白押し。大きく変わろうとしています。ここでは渋谷区が2011年10月に発表した案に基づき、今後の計画をご紹介します。
東横線地下化に始まり、JR2線並列化まで変化は10数年に及ぶ予定
渋谷は地名の通り、山手線に沿って南北に細く窪んだ谷の上に山手線の駅があります。そのため、他路線は山手線に並行してホームを作ることができず、同じJRの埼京線でさえ、同じ駅とは思えないほど遠くに作らざるを得なかったほど。乗換えの分かりにくさ、遠さなどがしばしば指摘されてきました。また、耐震性の観点からも改善が必要との声がありました。その問題を一気に解決、新しい渋谷を作ろうというのが、今回ご紹介する計画です。
まず、鉄道に関しては、現在東口駅前と明治通り沿いで東急東横線渋谷駅の地下化、東京メトロ副都心線との相互直通運転開始に向けての工事が進められています。これは2012年度完成予定ですから、もう間もなく完成します。この後、今度は現在東急百貨店内3階にある東京メトロ銀座線が渋谷ヒカリエとの間に移動します。工事は2011年からすでに開始されており、事業完了予定は2021年です。
さらに、この移動と東急東横線渋谷駅地下化で生まれた空間を利用して、山手線と埼京線ホームが並列に配されることになっています。もちろん、移動するだけでなく、混雑緩和と危険防止のため、ホームの幅が広げられ、バリアフリー化が図られるなど、使いやすい駅に生まれ変わります。
JR線、国道246号を中心に、今後5棟の超高層タワーが誕生
続いて、駅周辺の建物。駅が移動するのに伴い、駅ビルも生まれ変わります。東急百貨店東横店東館は2013年3月で営業を終了することになっており、以降解体、JR線を挟んで東西2棟の高層ビルが計画されています。渋谷区の整備方針(案)では駅を渋谷の中心と位置づけ、周囲よりもひときわ高いビルを想定しており、特に東棟は都内一の高さとなる250m級となるとも言われています。着工は計画では2015年度。東西2棟とも現時点では用途その他は未定。事業完了は2026年の予定です。この建替えに伴い、駅周辺のロータリーやバス乗り場その他も拡張、整備されることになっています。
変わるのは駅、駅ビルだけではありません。駅周辺では同じタイミングで3つの再開発計画が動き始めています。ひとつは地下化する東急東横線の路線跡地で、ここにはオフィスと商業施設からなる超高層ビルが建設されることになっており、地下広場を介して東急東横線、副都心線ともつなげられる予定です。もうひとつは、この計画とJR線を挟んだ反対側、桜丘での再開発計画。ここには、オフィス、商業施設に住宅を含む高層棟、低層棟からなる複合施設が予定されており、完成すると国道246号、JRをそれぞれ挟んで計4棟の高層ビルが建つことになります。
もうひとつは少し離れた西口、ロータリーを挟んだ道玄坂一丁目エリアでの再開発計画。ここも高層ビルになる予定で、建物1階部分の一部は交通広場などに充てられます。
こうした動きに呼応して、東京都も渋谷駅近くにある3カ所の都有地を、民間のノウハウ、資金を使った形で開発する計画を進めています。すでに事業者が決定した宮下町アパート跡地ではクリエイター向け住戸を含む住宅が作られる予定で、IT系の街という渋谷のイメージは今後、大きく変化してきそうです。
便利さに加え、緑も多い静かな環境、山手線内側のタワーは希少
さて、そんな渋谷を住宅地として考えた場合、新宿、池袋などと大きく違うのは繁華街の周辺に、たとえば松濤、南平台などといったお屋敷街があるという点。都心へのアクセスの良さはもちろん、商業エリアから少し離れれば緑、静けさといった住環境も得られる立地というわけです。ただし、渋谷駅が最寄りでかつ、山手線内に立地する物件は比較的少なく、外側で低層、広めの物件か、駅周辺でワンルームなどの単身者向きの物件かが目につくところ。単身者からカップル、ファミリー向きまでの間取りが揃う物件は少なく、また、タワーもこのエリアでは希少です。現時点で山手線内でタワー物件として挙げられるのは、六本木通り沿いに建つ「ラ・トゥール渋谷」。周辺に視界を遮る建物がなく、渋谷駅方向はもちろん、六本木、新宿などの眺望が楽しめます。都心から車などで帰宅する際に混雑する渋谷を抜けなくても良い点も人気です。
取材物件
【取材物件】ラ・トゥール渋谷