日本で一番お金持ちが住んでいる私鉄沿線はどこ?

お屋敷の多い街という設問であれば、いくつも候補は挙げられます。しかし、沿線単位でどこ?と聞かれると、どこがトップかは迷うところ。さて、どこなのでしょう?

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年間所得、金融所得で見る、お金持ちが住んでいる私鉄沿線ベスト10

2008年10月に野村総合研究所が、日本で初めて私鉄沿線別の世帯当たりの年収、金融資産を調査、ランキングを発表しました。それが今回ご紹介するデータです。

このデータは東京、大阪、名古屋近郊のJR並びに地下鉄・モノレールを除私鉄沿線のうち、沿線全体の1日あたり乗降客数の多い沿線上位40沿線を集計対象とし、路線の各駅から半径1km以内に重心のある町丁目を沿線地域としてデータを推計したもの。1世帯あたりの年間所得の多い沿線、1世帯あたりの金融資産の多い沿線、それぞれが推計されています。

最初にご覧いただくのは年間所得の多い沿線上位10路線です。トップは京王井の頭線で、年間所得は709万円。以下、東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線と東急線が3路線続きます。ちなみに国税庁の「民間給与実態調査」によると、2005年1年間に民間企業に勤めるサラリーマンが得た平均給与は436万8,000円。どの沿線も平均を大幅に上回っています。

ところで、東急東横線、東急田園都市線はかなり知られていると思いますが、首都圏に詳しくない人も含め、何人かにこのデータを見せたところ、反応が面白かったのが京王井の頭線でした。東京を知らない人からすると、路線自体を知らないと言いますし、東京を知っている人でも、あんな地味そうな路線が、という反応なのです。

(引用:野村総合研究所)

地味だけどお金持ちが多く居住していた京王井の頭線

確かに人気駅渋谷と吉祥寺をつなぐ路線ではあるものの、電車もホームも見た目はあまり冴えません。運行距離は12.7キロと短く、他の私鉄各線と違い、乗り入れもありません。しかし、途中には下北沢や明大前のように若者に人気の街もあれば、日本一ポルシェの売れる街浜田山、それに負けず劣らずのお屋敷街永福町、久我山なども。知る人ぞ知る沿線というわけです。

実は京王井の頭線はもうひとつのデータ、金融資産の多い沿線でもトップです。年間所得が多いというのは、現役世代でかつ高給をとっている人という意味でしょうし、金融資産が多いというのはシニアも含め、預貯金が多いということでしょう。その両方でトップに挙がるということは、沿線全体としてお金持ち度が非常に高いといえるわけです。

(引用:野村総合研究所)

東急沿線には知られざるお屋敷街が点在

ところで2つのデータともに挙がっている東急の各沿線も、東横線、田園都市線を除いては京王井の頭線同様、あまり全国区とはいえそうにない沿線です。東急目黒線、同大井町線、同池上線、同多摩川線と聞いて、どんな街があるか、イメージできる人はよほど東京に詳しい人でしょう。

しかし、実はこれらの沿線には京王井の頭線沿線同様、知る人ぞ知るお屋敷街が点在しています。例えば東急池上線久が原(大田区)。ここは弥生時代の遺跡が出土しているほど古くから人が住んできた場所で、大正年間に区画整理が行われています。そのため、道路が碁盤の目状で区画も広く、特に久が原3丁目、4丁目あたりには庭の広い一戸建てが点在し、空の広い、開放的な街並みとなっています。久が原だけでなく、続く東嶺町、西嶺町、南久が原、鵜の木(最寄り駅は東急多摩川線)あたりも同様で、クラシカルな雰囲気も漂います。

また、多少は有名であろうと思われるのが、東急目黒線洗足から東急大井町線旗の台にかけてのエリア。こちらは品川区になり、町名でいうと小山7丁目から旗の台6丁目あたり。駅名の洗足で思い出された方もいらっしゃるでしょうが、ここは皇太子妃雅子様のご実家のある街で、駅から少し離れると広壮という単語にふさわしいお屋敷が並びます。

いずれの街もそれほど大きな商店街があるわけではなく、目立つ施設などはありませんが、静かさ、区画の大きさはいずれも目を見張るほど。ファミリーでゆったり、毎日を大事にした暮らしを送りたいという人には、間違いなくお勧めできるエリアです。また、商店街をよくよく見てみると、シャンパン数種が冷やされている酒屋さんや、ブランド米揃いの米屋さんなど、生活レベルの高さも伺えます。データは正直に、さりげないけれど上質な街がどこであるかを教えてくれているといえるでしょう。

京王井の頭線
電車、駅を見る限りではローカル感すらある京王井の頭線だが、沿線には由緒あるお屋敷街も多く、知る人ぞ知る店なども点在している。また、沿線の大半を占める杉並区は教育熱心で有名
東急東横線 渋谷駅
首都圏だけでなく、全国的にも有名な自由が丘、田園調布、横浜などといった街が並ぶ東急東横線沿線。2013年には、東京メトロ副都心線と相互乗り入れが完了。みなとみらい線元町・中華街から横浜、渋谷を経由して、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・池袋線までがひとつの路線として結ばれた。また、渋谷-代官山駅間の地下化工事が3時間半で行われたことも話題となった
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