2000年代の住まいの防犯事情をチェック

不動産会社に聞くと、物件を下見に行って必ず出る質問のひとつは「このあたりは安全ですか?」。そしてどの不動産会社も「この質問は答えにくいですね」と口を揃えます。なぜなら「絶対に安全な場所など、もう、どこにもありません」。私たちはずっと安全は空気のようなもの、ただで手に入るものと思ってきましたが、その神話はすでに崩壊寸前。安全で快適な暮らしをするためには、それなりの防御が必要になっています。その中でも大事なのは住まいの防犯。最新事情をみていきましょう。

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【住戸内】玄関と窓が2大侵入経路 ディンプルキー、ダブルロックは常識に

マンションの場合、住戸への侵入経路としては玄関、バルコニーに面した窓が大半。そこで住戸単位での防犯体制は玄関、窓に集中しています。

玄関ではピッキングされにくいディンプルキー、ダブルロックにサムターン回しに対応する収納型サムターン、ドアチェーン、ドアスコープなどを設置したドアが一般化しつつあります。最近ではドアスコープにカバーを付けた物件も登場。これは外に明かりが漏れないようにして、不在か在宅かを分からせないようにするというものです。

窓の防犯システムで一般的なのは防犯センサー。作動させておくと、こじ開けられた時には、音が鳴り響いたり、防犯センターに通報が行くなどして、侵入を知らせてくれます。都心部の1階住戸なら、バルコニーに面した窓以外にも設置されていることが多いようです。また、防犯に気を配っている物件の場合は1階以外の住戸にも配備されています。最近は窓からの侵入が増えていますから、窓の防犯センサーの有無はチェックしたほうがいいポイントです。

もうひとつ、住戸内で大きな役割を果たしているのがテレビモニター付きのインターホン。従来からある設備ですが、最近はカラー化、撮影範囲の拡大が進み、より鮮明に来訪者を見分けられるようになっています。また、最新のものには録画機能もあり、不在時に訪れた客を録画、不審者が混じっていないかをチェックすることもできます。

【敷地内】オートロック、防犯カメラ設置に 24時間管理が理想

敷地内の防犯体制は設備によるものと、管理員、警備員といった人によるものの2種類があります。

設備では、玄関のオートロック、敷地内に設置された防犯カメラが主なもの。いずれも目新しい設備ではありませんが、いまや必須といえるほど。オートロックでは虹彩や指紋など生体認証も導入され始めており、設備の精度は日々向上しています。

これらの設備には本来の目的以外に、犯罪者を威嚇、牽制する効果もあります。例えば、わざと目につく場所に設置された防犯カメラ。私たちは分からないように設置したほうが役に立つのではと思いますが、それは間違い。犯罪者は必ず下見をするものですが、その際、防犯設備が整っているマンションと思わせることで、狙われないようにするのだとか。エントランス、エレベータ内、駐車場内に加えて、敷地内で外から見えるような場所に防犯カメラが設置されていれば、こうした効果を考えての配置というわけです。

設備も大事ですが、いざというときに頼りになるのは、やはり人。24時間警備会社に連絡がとれるようになっているのは当然として、ベストな体制は昼間は管理員、夜間は警備員のいる24時間有人管理。導入されている物件は限られますし、その分、管理費は高くなりますが、安心料と考えればそれだけの価値はあるはずです。

【建物周辺】設備を過信せず、 犯罪者の目で敷地の周囲をチェックしよう

ただし、最新の設備、管理体制があるから安心と思うのは早計。10月19日の読売新聞は、オートロックのマンションをあえて狙う窃盗事件の頻発を伝えています。いわく、「安全性を過信した住人が自分の部屋のドアや窓に鍵をかけないでいるケースが多いせい」。また、「裏口に防犯カメラが設置されていない、裏口が開いている物件が少なくない」とも。

こうした事態を防ぐためには、下見時に建物の周囲を歩いてみること。自分が犯罪者になったつもりで、人目につかず、侵入しやすい場所や隠れられる場所がないかを探してみることです。前述の裏口はもちろん、植栽が茂り過ぎている場所、街灯が暗くて死角になる場所、簡単によじ登れそうな壁や足がかりになりそうな電柱、木などは要注意です。

当然ながら、毎日の暮らしではドアや窓への施錠を忘れないこと。空き巣の所要時間は侵入作業に5分、物色に3分、計8分ほどと言われます。ゴミを出しに行く程度の時間でも十分危険はあるのです。

また、1階が狙われやすいとはよく聞きますが、実際は2階以上が安心というわけではありません。財団法人都市防犯研究センターによると、泥棒に入られた階数は3階が20.0%と最も多く、ついで、4階、5階、2階と続きます(平成12年~13年。東京都のデータ)。高層マンションでは最上階やその下の階が狙われやすいともいわれ、どの階に住んでも注意は必要というわけです。

以上、見てきたように防犯体制は日々進化しています。しかし、犯罪の手口も同じように巧妙さを増しています。その意味では、設備、管理を活用しつつ、自分の身は自分で守るという強い意識を持つことが最も大事な防犯対策なのかもしれません。

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