自分らしくありたい人に向け、都市生活を快適、安全にバックアップしてくれる東京建物の賃貸マンションシリーズ「Brillia ist(ブリリアイスト)」が新たな展開を見せています。細やかな気遣いと大胆な先進性、その両面をご紹介しましょう。
都心居住のために作られた高評価物件「Brillia ist 東雲キャナルコート」
首都圏を中心に展開されている「Brillia ist」のうちでも全423戸と有数の規模を誇る物件のひとつが「Brillia ist 東雲キャナルコート」。2005年に誕生した同物件は同年のグッドデザイン賞金賞を取得しており、その都心居住に適した優れたデザイン性は当初から高く評価されてきました。
とはいえ竣工から18年が経過。暮らし方の変化に合わせ、少しずつ手を入れ始めています、と東京建物株式会社住宅賃貸事業部賃貸住宅事業推進グループの伊藤純氏。
「共用部、住戸内それぞれに課題があり、共用部については2022年の大規模修繕を機に順次改修をはじめ、住戸内については空室が出たところからリノベーションを行うというやり方で、今の暮らしに合った住戸へ更新を行っています」。
大規模物件では共用部も大事な居住空間
まずは一気に手を入れたという共用部のリノベーションを見せていただきます。建物内は昨年大規模修繕を終えたばかりでとてもきれいな状態。共用廊下のガラス柵の状態からは日々の清掃状況が推察できます。
「小規模な物件は住戸だけが居住空間ですが、大規模な物件になると共用部も大事なスペース。手を入れることが住んでいる方の満足度に繋がります。大規模修繕後にも追加でエレベーター内のシート張り替えなどを実施し、常に良くしていこうという努力をしています」。
共用部で大きく手を入れたのは2カ所。そのうちのひとつは2階にあるコミュニティサロンです。18年前の当時は「リモートワーク」「サードスペース」「SDGs」などという言葉のない時代に作られた空間ですから、今のニーズに合っていない部分があるのは当然でしょう。
仕事、学び、癒し、交流etc.に使えるブックラウンジ「シノノメノマ」
その空間が新しく「シノノメノマ」というサスティナブルなブックラウンジとして再生されました。中央には12人掛けの大きなテーブルがあり、その隣には500冊ほどの本が並べられた大きな本棚。書籍は毎月10%ずつ入れ替えられるそうで、飽きずに通い続けられそうです。壁際にはSDGsに関連するテーマごとに分類された本も並んでいます。
奥の壁際には個別ブースも6カ所用意されています。窓際には1人掛け、2人掛けのソファもあり、その日の気分ややりたいことに合わせて中央のテーブル、ソファ、ブースを使い分ければ仕事、学び、憩いその他さまざまな使い方ができます。
グリーンやブルーを基調とした室内は明るく楽しそうな雰囲気で、そこにさらに彩りを添えるのは日本を代表するグラフィックデザイナーのポスターが並ぶコーナー。ビビッドな赤や黄色が元気をくれるようです。
「住民の皆さんにアンケートを実施、その後、座談会方式で対話を重ねて2023年1月にオープンしました。今回一新するにあたっては、「KIGI」をクリエイティブディレクターに迎え、空間デザイン等にもこだわりをもって、入居者の声をかたちにしています。既存のテーブルや椅子を塗り直し、カバーをして使うなど環境に配慮した作りとし、個人で好きな時間に利用できるほか、お子さんの誕生日会や習い事などでの貸し切りもできるマルチな空間としてご利用可能です。
小学生や赤ちゃんのいらっしゃるご家庭が多いこともあり、絵本を増やして欲しいなど要望等も頂いており、午後になると子どもたちだけでなく、ビジネスワーカーの利用も増え始めています」。
コミュニティサロンと銘打った「シノノメノマ」を会場とし、破棄されてしまう花(ロスフラワー)を使用したワークショップや、金継ぎ講座など、SDGsを意識したイベントも始めています。
「様子を見ながら少しずつ、自分たちで直接運営してイベントを開催しています。入居者の方の生の声を聞ける良いチャンスでもあり、一度利用していただくと『こんなすてきな場所があったのね』とリピーターになってくださいます」。
ゴミ置き場を明るくカラフルに、通いたくなるゴミ置き場「GOMMY」
もうひとつ、大きく変わったのは1階にあるゴミ置き場です。集会室などの改装は他物件でも聞いたことがありますが、ゴミ置き場の改修はこれまで聞いたことがありません。
「使いながらの改修だったので清掃局と協議しながら進めたのですが、彼らもゴミ置き場の改修は聞いたことがないそうです」。
きっかけは以前のゴミ置き場が暗く、子どもにお手伝いを頼んでも一人では行きたくない、怖い場になっているという居住者からの声。同物件のゴミ置き場は1階にあり、そこまで運ぶ必要があります。親としては子どもにお手伝いしてもらいたいところですし、子どもにとっては環境やリサイクルなどについて学ぶ機会でもあります。
また、ゴミ置き場を汚いままにしておくと、住環境が荒れてしまいます。
「この物件にはファンも多く、竣工以来あるいは10年以上お住まいの方も少なくありません。そうした方々の気持ちが離れないよう、ずっと愛されるようにと考えると毎日の小さな使い勝手の改善は重要なポイントです。
ゴミ置き場については以前から問題意識がありました。当社内には、多様な価値観・ライフスタイルに寄り添った暮らしの在り方を、様々なコミュニティ等との「共創」を通じて継続的に提案する bloomoi(ブルーモワ)という組織があるのですが、当局メンバーの発案から、分譲物件のゴミ置き場を変えるプロジェクトが立ち上がりました。マイナスイメージの多いゴミ置き場の印象をネーミングやデザインでプラスに変えるもので、それを賃貸でもやってみようということになりました」。
新しいゴミ置き場のネーミングは「GOMMY(ゴミ―)」。入口には頭文字のG、バケツをイメージさせる顔のようなロゴが掲げられており、ゴミ置き場の天井は温かみのあるグリーン、床はブラウンで木々をイメージさせる色づかいです。
ゴミの種類を表すピクトグラムは、文字が読めなくても一目で分かるようにペットボトル、缶などのキャラクターになっています。色づかいも水色、ピンク、黄色と分かりやすく、カラフルです。
「ゴミ出しに支障が出ないよう、3回に分けて改修をするなど作業は大変でしたが、完成後は明るくなって良かった、ゴミ置き場のイメージが変わった、ゴミ置き場に行くのが嫌じゃなくなったとのお声をいただいています」。
住民、入居希望者の声から期間に関係なくベストな空間作り
話を伺ってゴミ置き場の改修以上に他にないと感じたのは住民や物件を見学にした人たちの声をよく聞き、住み心地を日々良くしていこうという努力の積み重ねです。
「分譲物件では購入した方に長らくアンケートを実施しており、賃貸でもここ数年、同様に入居されている方の声を聞いています。住んでいて気になっているところはないか、改修をするとしたらどこを改修して欲しいかなど内容はさまざまですが、聞いただけで終わりにせず、可能な限り、その声を反映させるようにしています。
また、見学に来られた方の声は募集センターのスタッフが吸い上げてくれます。どこが気になって契約に至らなかったのか、そうした生の声を聞くことで改善点が分かります」。
分譲物件の場合、購入後に長く居住することになるため、その観点での改善はよく行われているところです。ところが、賃貸物件では短期居住だからと住み心地や使い勝手を軽視する風潮が見られることもあります。
しかし、居住期間に関係なく、住んでいる人はより良い住み心地や使い勝手を求めます。また、賃貸でも長く居住する人は少なくありません。それを考えると「期間に関わらず、常にベストな居住体験を」という姿勢が根底にあることは住む人にはなによりうれしいこと。それが同物件の住みやすさに繋がり、長年住み続けるファンを生み出しているのでしょう。
当初のデザイン性に改修で今どきの暮らしやすさをプラス
続いてはリノベーションした住戸を見せていただきました。最初に訪れた部屋は広めの土間が特徴の66.09㎡の2LDK+サービスルームのある間取りです。
「Brillia ist 東雲キャナルコートはデザイン性の高い、特徴ある間取りが多いのですが、使い勝手よりデザインを優先した部分もあります。そこで今回はデザインの良さは活かしつつ、使いやすさを向上させることにしました」。
具体的なポイントは3点。ひとつは玄関部分です。もともとの玄関は、玄関正面にあるサービスルーム前まで伸びており、サービスルームに入るためには1歩だけ玄関タイルに降りる必要がありました。見学に来られた方々からは、その1歩が気になるという声が上がっていたそうです。
そこで、サービスルーム入口の前まで斜めに廊下を伸ばすことに。そうすることで気持ちよくサービルルームが使えるようになりました。
時代とともに暮らしが変化、キッチン改修でリビングも明るく
二つ目は玄関以上に多くの方から指摘のあったキッチンです。以前はリビングとは壁で仕切られた独立型キッチンで、壁には20~30㎝ほどの横長窓が設置されていました。
18年前は対面式のカウンターキッチンが登場し始めた時代。そのため、キッチンがオープンになっていて作業中の様子を見られてしまうのは嫌だ、という声がありました。そうした声に応えて作られたのが当初のキッチンです。一人でキッチンにこもって調理し、リビングにいる家族とは窓越しに会話をするというスタイルです。
ところが、その後、カウンターキッチンが普及。今では対面式が当たり前、使いやすいと思う人が多数を占めるに至っています。今、独立型キッチンはちょっとと言われてしまうのは仕方ないことかもしれません。
「対面式のカウンターキッチンに改修したのですが、使い勝手が良くなったことに加え、キッチンだけでなく、リビング全体が明るく、広く感じられるようになりました。リビングは家族が集う場ですから、気持ち良い空間であることは大事です」。
三つ目はこれまで一枚の引き戸で仕切られていたところを2枚の引き戸にして開口部を広げ、サービスルームではなく、居室として表記、使えるようにしたこと。使いやすくなったことに加え、1LDK+2Sという実際の部屋の状態が想像できない表記ではなく、2LDK+Sとなったことで選ばれやすくもなっています。
また、建具や壁紙などの内装については同社の分譲物件で最近人気の高い色を選択。雰囲気を一新しました。
今どきの新築には少ない個性的な間取りも多数
もう1室、見せていただいたのは48.12㎡のスタジオタイプで2.2畳のサービスルームのある住戸。この部屋でも玄関、キッチンが改修されました。
「以前はキッチンと居室の間に壁だけではなく、洗濯機置き場なども作られていました。それを移動、カウンターキッチンにした上でキッチン背後に食品庫を新設しました」。
同物件はエントランスと道路を挟んで向かい側にイオン東雲店があるという買い物の利便性の非常に高い物件ですが、それでも住戸内に買い置きしておけるのは便利。広さがあるので、食品以外も収納できそうです。
新鮮な魅力として感じたのはスタジオタイプで15.3畳という広さです。近年のスタジオタイプで主流となっているのは30㎡台ほどですが、この部屋は50㎡近くあります。シングルあるいはカップルで広いワンルームを探しているなら、この時代の間取りのバリエーションが豊富な物件は狙い目かもしれません。
ちなみに次にリノベーションを予定しているのは14階の天井高約4mという贅沢な住戸。空くのが分かると居住している方々から引っ越したいという声が出るほど注目の高い最上階。その部屋がリノベーションされるということは……。競争率が高くなりそうです。
立地の魅力に加え、希少なサウナ付き住戸が人気
もう1軒、見学させていただいたのは2023年9月に竣工したばかりの「Brillia ist 文京六義園」。古くは武家屋敷が並び、近代に入ってからは著名な財界人、政治家などが居を構えたことでも知られる大和郷と呼ばれるお屋敷街に立地しており、アースカラーのシックな外観が印象的な物件です。
文京区は幅広い層に人気のエリアですが、新築物件は意外に少なく、特に同物件のような25㎡~63㎡と多くのプランバリエーションがある物件はほとんどありません。
また、ブランド力のある地域とあって見学に来られた方は同物件だけを目当てに訪れているとか。最寄り駅が都営三田線千石であるため、同沿線沿い、大手町などに勤務する人を想定していたところ、それよりもはるかに広範なエリアから入居希望者が集まっています。
立地に加えて同物件には他の物件にない魅力があります。ひとつがサウナです。共用部にサウナが設置された物件はこの2~3年で一気に増えましたが、全45戸という規模で住戸にその部屋の居住者専用のサウナがある物件はまだ全国でも数えるほどです。
同物件では54.64㎡の1LDKの2戸に設置されており、入居希望者からの問合せは多く、さらには同業他社からの見学希望も殺到している状況。サウナニーズの高さが実感できます。
導入されているのは95㎝角の一人用のガラス張りのスタイリッシュなサウナ。一般的な木製の品と比べるとデザイン性が高いのが特徴です。
「サウナに合わせて木製枠の三面鏡、煌めくタイル、調光器などで水回りにはシックなデザイン、素材、設備を導入。玄関を入った時点で目にする位置にあるので、部屋に入った瞬間に『おお!』という声を何度も聞きました」と担当する住宅賃貸事業部賃貸住宅事業推進グループの福山昂助氏。
賃料は他の部屋より高めですが、自宅で時間、周囲の目を気にせず、いつでも入れる上に、そのまますぐに寝られる状況でサウナに入れるのは何より。これだけスタイリッシュな空間なら友達を呼んでも盛り上がるでしょう。
集合住宅に入れるとなると安全面が気になるところですが、安全装置があり高温になりすぎないよう制御されています。同物件でサウナ人気の高さ、賃料が高くても借りたい人が多いことは実証できたため、今後、サウナ付きの物件が増えるかもしれません。
六義園の緑を眼前に開放的なルーフバルコニー付き住戸
もうひとつ、サウナほど話題にはなっていないものの、特徴的なのがルーフバルコニー付きの住戸。こちらも2戸あり、実際の住戸を見せていただいて驚いたのは5階、6階という低層にも関わらず、遮るもののない視界が広がること。
近くには江戸の二大庭園のひとつと称される六義園がありますが、その緑を臨む立地にあり、しかもお屋敷街だけあって静か。都心の夜景のような派手さはありませんが、我が家ではくつろぎの時間を過ごしたいと思う人ならバルコニーで空を眺めるだけでも癒されるはずです。
室内では細かな使い勝手が目を惹きました。
サウナのある住戸は細長い形状をしており、廊下が広くなってしまいがち。ところが、寝室、キッチン、リビングは大きなワンルーム状になっており、廊下部分も引き戸を開けておけば使えるようになっています。全体の配置と引き戸の活用次第で限られた面積がそれ以上に使えるのです。
この間取り以外でも、寝室に書斎スペースが作られていたり、クローゼットがオープンなスタイルになっていたり、室内の随所に収納が設けられていたりと使う人、使い方を細かく想像して作られただろう箇所があちこちに見られ、なるほど!と思うところ多数。実によく検討されたものです。
その結果、来春までに満室になればと考えていた予想を大きく裏切り、情報を出すとすぐに申し込みが入る状況が続いており、担当者としてはうれしい悲鳴とか。20代~40代に選ばれているそうです。
最後に物理的な鍵が使われていないという点も付け加えておきたいところ。スマートフォン、顔認証と最新の技術を利用、楽して安全を可能にしているのです。
以上、日々進化するBrillia istシリーズを見学してきました。住んでいるうちにどんどん良くなる、次は何が変わるのだろうと思いながら暮らすのは楽しいことでしょう。進化する賃貸住宅、そんな言葉を思いました。
取材物件・取材協力
【取材物件】Brillia ist 東雲キャナルコート、Brillia ist 文京六義園
【取材協力】東京建物株式会社、東京建物不動産販売株式会社