再開発で賑わう渋谷駅、食と桜を目当てに人が集まる中目黒駅の間にありながら、東急東横線代官山駅にはどちらの街とも違う独特の存在感、洗練されたセンスが感じられます。その代官山駅と道を挟んだ目の前に東急不動産の新しい複合施設「フォレストゲート代官山」が姿を現しました。これまでの日本の賃貸住宅とは一味違う、緑に包まれた住宅を見学してきました。
日本の集合住宅の原点の街、代官山
フォレストゲート代官山は1955(昭和30)年に竣工した我が国初の外国人向け高級賃貸住宅「代官山東急アパート」のあった場所に位置しています。
代官山はまた、1923(大正12)年 に誕生した日本最初期の集合住宅「同潤会代官山アパートメント」があった土地であり、1967(昭和42)年の設計開始以来、多面的で豊かな表情を持つ文化の街として知られる「ヒルサイドテラス」が長い時間をかけて育まれてきた場所。日本の集合住宅にとっては大きな意味のあるエリアというわけです。
かつて戦後の代官山の変遷を地元で取材した際、代官山の現在の変化は代官山東急アパートから始まったと聞いたことがあります。そこに「フォレストゲート」という名称通り、森を思わせる深い緑に包まれた街への入口として、これからの環境の時代を象徴する建物が誕生するのは、この街の新しい歴史の始まりといえそうです。
緑に包まれた住まいを実現
フォレストゲート代官山は、代官山駅と道を挟んだ向かいにある木造2階建てのTENOHA棟、八幡通り側に入口のある地上10階建てのMAIN棟の2棟から構成されています。駅からはカフェ、イベントスペースのあるTENOHA棟の前を抜けてMAIN棟にアプローチできるので、ほぼ駅前立地と言ってもよい建物です。
レジデンスがあるのはMAIN棟の4階以上。MAIN棟は今、日本で一番知名度の高い建築家・隈研吾氏の設計で比較的低層の建物が多い代官山にあってはひときわ目立ちます。規模がというだけではなく、木箱の積み上がったような外観に豊富な緑という、周囲の住宅とは異なる外観が人目を引くのです。都心の再開発では敷地、建物壁面や屋上などに緑を配するのはごく当たり前になってきましたが、住宅ではまだまだ希少。東急不動産は「WE ARE GREEN」をビジョンとして掲げていますが、その具現化とも言える建物なのです。
外観だけではありません、八幡通りからエントランスまでの通路、エントランスホール、そして各住戸内からはいずれも緑が望めるようになっています。植物好きの人であれば、種類の豊富さにも目が行くでしょう。多肉植物などこれまでの集合住宅ではあまり見られなかった植物も植えられており、目を楽しませてくれます。
特に生活を豊かにしてくれるのは各住戸のバルコニーに用意された緑。バルコニーに緑を配する場合、腰の高さほどのプランターに緑を植えるのが一般的ですが、フォレストゲート代官山ではバルコニーの足元部分から緑が植えられており、植栽の植えられたバルコニーのある部屋では窓一面が緑。窓の近くに座ると足元には木漏れ日が差し、風とともにゆらゆらと。都会にいるとは思えないほどです。
特に2LDK以上の部屋では2方向、3方向に緑が配された、どの部屋からも緑が楽しめる住戸があり、癒される風景が広がります。奥行きのあるバルコニーならアウトドア用の家具を置けばもうひとつのリビングとしても使えるでしょう。
他では見ない植栽には、すでに周囲が建て込んだ場所での新築という事情もあります。どうしても窓から隣設するビルの室外機が見えてしまったり、目線が気になる位置もあるのですが、そこにバルコニーを作り、緑を用意して自然な目隠しとしているのです。
そうしたニーズもあり、バルコニーの形状と緑の配置は各戸、階数で違います。戸数は全57戸ですが、間取りは全27タイプと迷うほどのバリエーション。1LDKでも61㎡台から72㎡近くまでとどの間取りもたっぷりとした広さがあるのも特徴です。2LDKでは全室が100㎡以上、3LDKでは200㎡を超すプランもあります。
【PHOTO GALLERY】PENTHOUSE
もっと広い住戸としては、9階・10階・屋上の3層を利用したペントハウスがあり、間取りは5LDKに2つのウォークインクロゼット、シューズインクロゼット、ウォークインパントリーを備えた300㎡超。屋上は広々としてルーフテラスがあり、バルコニーは各階2方向に。マスターベッドルームのバスルームは緑を望む仕様です。また、ビルトイン冷蔵庫、ワインセラーも付いています。
【PHOTO GALLERY】E TYPE
こちらはEタイプ、146.95㎡の2LDK。リビングダイニング29畳、メインベッドルーム15畳にもう1室も12.2畳とゆったり作られており、各室にウォークインクロゼット、玄関にシューズインクロゼットがあります。この部屋はアイランド式のキッチンが人気とか。2LDK以上には洗濯機、乾燥機、タオルウォーマーが用意されており、電気オーブン、食洗器、ディスポーザー、床暖房は全タイプに付いています。
本格的なコワーキングオフィスが利用可能
緑という点では8階の共用部に設けられたエディブルガーデンやバーベキューテラスも自然の中にいるような気分にさせてくれます。共用部の緑は建物全体の植栽の設計を手がけた「SOLSO」が管理することになっており、入居者には緑のサブスクサービスも用意される予定とか。バルコニーだけでなく、室内でもいつも手入れの行き届いた緑が楽しめるというわけです。
8階にあるバーベキューテラス。東京タワーが望める場所にあり、景色と緑を同時に楽しめる
共用部ではないものの、入居者が利用できるものとしては3階に入居予定の会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート」があります。これは東急不動産が首都圏を中心に展開しているもので、コンシェルジュが常駐する本格的なコワーキングオフィスです。最近の新築物件ではワークスペースがあること自体は珍しくはありませんが、ここまできちんと作り込まれたタイプが利用できる物件は希少です。
入居者は1部屋あたり1アカウントを利用できるようになっていますが、夫婦で利用したいからとアカウントを追加する例も多いのだとか。特にカップルでの入居希望の多い1LDKでは人気の施設と聞きました。住宅のある建物に同施設が入居するのは初めてとのことですが、住まいの近くに働く場をというニーズの高さにはびっくりさせられます。
また、仕事場としてだけでなく、自分の部屋の外にある応接間といった感覚で待ち合わせや来客への応対などにも使えます。
個室や会議室、コワーキングスペースなどさまざまな設備が揃い、コンシェルジュも常駐するシェアオフィス「ビジネスエアポート」
3階には同施設利用者と入居者が共有の場として使える中庭テラスもあります。上階から眺めるとこのテラスにも緑が配されており、リラックスできそうなチェアなどが置かれています。季節の良い時期には屋外で仕事をしたり、家族と寛いだりするのも良さそうです。
中庭があることで住戸フロアの廊下に窓が多く、明るいのもこの物件ならでは。間取りを豊富に用意できた背景にもなっているのではないでしょうか。廊下から外が見えるので、季節、天気の変化も感じられます。
一部住戸では平置き駐車場2台分の利用も
それ以外にも食や健康に関するサービスが予定されていたり、最新式のキーやアプリの導入も予定されているなどソフト面にも見るべき点は多数あります。
なかでもお問い合わせの方々に評価されているのは平置き、2台分の駐車場が利用できる点とか。車好きの方々の中には横幅、車高などで機械式駐車場には入らない車を所有する方も多く、また出し入れの時間も考えると平置き駐車場には高い人気があります。それが2台分利用できるのは大きなメリット。車好きならそれだけで住みたくなるのではないでしょうか。
※間取りタイプにより利用できる駐車場に制限がございます。1LDKは駐車場の確保ができません。詳細はお問い合わせください。
地下2階に用意された車寄せ。駐車場からはコーチエントランスを通ってエレベーターを利用し、ダイレクトに住戸へアクセス可能
また、近隣にお住まいの方からの問い合わせも多いと聞きました。代官山は駅からすぐに住宅地が広がっているにも関わらず、その他の都心中心部とは異なり、大規模でグレードの高い賃貸物件はほとんどありません。地元の方々からすると日々、建ち上がってくる姿を目にしていただけに問い合わせたくなるのは当然かもしれません。
実際、見学させていただいていくつもの驚きがありました。緑はもちろん、部屋の広さ、グレード、間取りの豊富さ、設備などに加え、代官山という地名だけに10階建てでも十分に眺望に恵まれている点は発見でした。特に建物北西側は低層の規模の大きな住宅街になっているため、バルコニーの緑の外にも宅地の緑が広がります。フォレストゲート代官山が発見した代官山の新しい魅力。代官山に住んでみたい人にとっては必見といえそうです。
取材物件・取材協力
【取材物件】Forestgate Daikanyama Residence
【取材協力】東急不動産株式会社、東急住宅リース株式会社