TokyoRentコラム

Vol.103フォレストゲート代官山
これからの循環型経済、地域共生のまちづくりを
代官山から広域渋谷圏、そして日本へ

Vol.103フォレストゲート代官山
これからの循環型経済、地域共生のまちづくりを
代官山から広域渋谷圏、そして日本へ

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Forestgate Daikanyama Residence

30/11/2023

2023年10月19日にグランドオープンした「フォレストゲート代官山」。代官山の中心地に立地する緑豊かな「職・住・遊 近接の新しいライフスタイル」拠点であると同時に、東急不動産が進める地域共生、循環型経済実践の場となる施設でもあるとのこと。東急不動産株式会社 都市事業ユニット 渋谷開発本部 プロジェクト推進部 事業企画グループの小田麻友美氏に目指す姿を伺ってきました。

Forestgate Daikanyama Residence(左)東急不動産株式会社 小田麻友美氏 (右)中川寛子氏

東急不動産ゆかりの地、代官山

フォレストゲート代官山は、東急東横線代官山駅と道を挟んだところから当地のメインストリート八幡通りの間という代官山の中心にふさわしい場所に立地しています。非常に利便性の高い場所ですが、この土地の持つ意味はそれだけにとどまりません。

「ここは1955年、創業2年目の東急不動産が建てた日本初の外国人向け高級賃貸住宅『代官山東急アパート』があった場所です。当社の『社会にまだないものを作る』というチャレンジ精神の原点ともいえる場所であり、建替え、暫定利用などで形は変わりながらも保有し続けてきたので、関与してきた社員も多く、社内でも注目のプロジェクトでした」。

Forestgate Daikanyama Residenceフォレストゲート代官山 MAIN棟

そこに生まれたフォレストゲート代官山の敷地内は名称通り、森のような緑に包まれた空間。小さな木箱を積み上げたようなMAIN棟外構にはランダムな緑が揺れています。

「これまで暫定的に低層の建物があり、その後に建つのが高い建物とあって地元からは期待と同時に不安の声も寄せられていましたが、幸い、緑の空間は多くの方々に喜んで頂けているようです。これまでの代官山には住宅、店舗軒先の緑は多くても誰もが使える公共的な緑の空間は少なかっため、ここにそんな空間ができたことで、来街者にも、住んでいる人にもワクワクしていただけているのだと思います」。

緑が増えたことで自然も豊かになりました。

「建物のご案内でエントランスにいると鳥の鳴き声が聞こえるようになりました。何人もの方から『BGMを流しているのですか』と聞かれましたが、緑が増えたことで自然に鳥たちが集まるようになったのです。秋になれば虫の声も楽しめるようになります」。

Forestgate Daikanyama Residence

代官山、東松山、秋田……、全国に広がるTENOHAとは?

特に自然が感じられるのがTENOHA棟(TENOHA代官山)です。TENOHAとは暫定利用していた時の施設名で、「手のひら」と「葉」を組み合わせた造語。施設を大きな木、新しいライフスタイルをたくさんの葉として、ものを創り出す手と手が重なり合う葉のように広がり、新しい時代に向けて人やモノ、サービスが育っていく場所であることを表しているのだそうです。現在は代官山以外に埼玉県東松山市、秋田県能代市、同男鹿市にあり、次は北海道松前町にできる予定です。

Forestgate Daikanyama ResidenceTENOHA ロゴ
Forestgate Daikanyama ResidenceTENOHA代官山

TENOHA東松山・能代・男鹿は既存の学校や飲食店などを利活用した施設です。カフェやコワーキングスペース、地域の交流施設などにリノベーションし、地域の課題解決、活性化に繋がる活動に取り組んでいます。

たとえば埼玉県東松山市では、太陽光発電施設を設置した地面を農地として活用するソーラーシェアという事業が複数企業と連携して進められています。TENOHA東松山のカフェでは、ソーラーパネル下や近隣で栽培した野菜を使用することで、地産地消、サスティナブルを実践しています。飲食を楽しみながら、環境に対しての理解を深められる場というわけです。

「東急不動産では2014年から全国各地で太陽光発電や風力発電など環境にやさしい再生可能エネルギー事業『ReENE(リエネ)』に取り組んでいます。現在では89事業、一般家庭約74.1万世帯分の電力を発電するに至っていますが、地域を単に発電の場として捉えるのではなく、それによって地域の課題と向き合うことができないか、と考えて作ってきたのがTENOHAです」。

Forestgate Daikanyama Residenceリエネソーラーファーム東松山 太陽光発電所
Forestgate Daikanyama Residenceリエネソーラーファーム東松山 太陽光発電所

「新たに誕生したTENOHA代官山では、地域と都心をつなぐ双方向の関係を意識し、地域で消費しきれない産物を販売したり、代官山のまちの声を地域の産品に反映させるようなことを考えています。全国のTENOHAと都心をつなぐ裾野の広い事業が展開できるのではないかと思います」。

循環型経済の実践、普及を代官山から

フォレストゲート代官山(TENOHA代官山)には東急不動産が目指すサーキュラーエコノミー(循環型経済。以下循環型経済)の実践の場としての意味もあります。

循環型経済は、これまでのリサイクル資源を使用しながらも、最終的には製品が廃棄されるリユース・リサイクルエコノミーとは一線を画すもので、廃棄物や環境汚染物を発生させないことを前提としています。環境負荷を最小限に抑えながら、最大限の経済効果を得ようというのです。これまでのリサイクルエコノミーが環境に良いモノを作ろうとすると高くついてしまうものであったことを考えると、実現の難しさはお分かりいただけるでしょう。

「TENOHA代官山は新築ですが、岡山県西粟倉村で林の過密を避けるために間引かれた間伐材を使用しています。現時点では間伐材の使用は高くつきますが、これがデザイン的にも素晴らしいとなれば価格に転嫁できるようになります。

このプロジェクトのために視察に行ったオランダでは、ものが選ばれる理由は、商品として優れているからでした。環境への配慮だけではなく、デザイン性、使い勝手が良い点が重視されています。残念ながら日本の価値観はまだそこまで至っておらず、新しくきれいなものが好きというのが一般的。その意識をさまざまな試みを通じて代官山から変えていきたいと考えています」。

Forestgate Daikanyama Residence

その実験、実践の場として代官山が選ばれたのにはいくつかの理由があります。

「代官山には職、住、遊とさまざまな要素が集まっており、総合的、分野横断的な提案ができます。感度の高い人たちが集まるまちであり、かつ新しいものを受け入れる土壌があるまちでもあります。そのため、サスティナブルという観点に賛同してくださる方が多いのではないかと考えています。

もうひとつ大きなポイントは、代官山が渋谷を中心とした2.5キロ圏の広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)にあること。そこから変化を起こすことで広域渋谷圏へ、やがては日本全国へという波及効果が見込めるのではないかと考えています」。

Forestgate Daikanyama Residence広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)

食品廃棄物を電力、食品に再生

循環型社会に向けてフォレストゲート代官山で行われている具体的な取り組みをひとつ、ご紹介しましょう。食品廃棄物におけるダブルリサイクルループという取組です。

これまで、飲食店などで排出される食品廃棄物は包装材や割りばしなどの分別が困難で、水分が多いのにもかかわらず負荷がかかる焼却処分をされていました。当然、CO2も排出されます。フォレストゲート代官山ではそれをJバイオ横浜工場でメタン発酵させて発電。カーボンニュートラルな電気へ還元させています。

メタン発酵残渣は再利用して堆肥になります。それを使って栽培された農作物を高品位なスイーツに加工することで消費者に美味しく食べてもらえるようになります。この堆肥はTENOHA棟の屋上ファームでも利用され、フード、ドリンクのメニューとして提供されています。楽しく飲食することで知らないうちに環境に貢献しているというわけです。

Forestgate Daikanyama ResidenceJバイオ食品リサイクル方法

循環型社会を共に目指すコミュニティ「CIRTY」

フォレストゲート代官山では共に循環型社会を目指すさまざまな事業者と連携するために「CIRTY(サーティー)」という活動もスタートさせています。

「東急不動産では2030年を目指す長期ビジョン『GROUP VISION 2030』にて『WE ARE GREEN』をスローガンとして掲げていますが、重要なのは主語がWEであることです。CIRTYはCITYにサークルを意識した造語で、いろいろな人達と繋がり、協力しあって仲間を増やしていこうと考えています」。

前述のカフェを運営する事業者はもちろん、地球環境をテーマに掲げる建築事務所、規格外の花も含めて日常的な花との付き合いを提案するフラワーショップ、日本初のゼロ・ウェイストの店舗をオープンさせたスーパーマーケット、家具や建材などの地域資源のリユースショップなどをチームの一員とし、今後はTENOHA棟を舞台にトークイベントやマルシェ等を開催していく予定です。

リアルな活動のほかに、WEBメディアでも情報発信をしていくそうなので、環境を中心にしたこれからの社会の在り方に関心のある方は覗いてみると参考になるでしょう。

Forestgate Daikanyama Residence貢献するSDGs

代官山から新しいライフスタイルを提案

フォレストゲート代官山は、新しいライフスタイルを提案する場、としても位置づけられています。

「賃貸住宅は誰にも愛されるオーソドックな住戸が多いものですが、フォレストゲート代官山には個性的で特徴のある住戸を作りました。それが、建築家・隈研吾氏、造園家・齊藤太一氏、フードディレクター・平野紗季子氏に監修を依頼した3部屋のライフスタイル提案住戸。新築でここまで手を入れるのは珍しいはずです」。

住戸はすべて1LDKでいずれもワンルーム的に使用。こころをテーマにした隈氏の部屋は天井、壁が同じ布で包まれた洞窟のような空間となっており、齊藤氏の部屋は土のような質感の家具に緑が点在、自然の中にいるかのような雰囲気。平野氏は中央に8人掛けのダイニングテーブルを置いた24時間食事を満喫できる住戸を提案しています。

Forestgate Daikanyama Residenceこころ/With Totonou 『半分くつろぎ半分整う家』
Forestgate Daikanyama Residence緑/With Green 『森のすみか』
Forestgate Daikanyama Residence食/With Delicious 『Allday Dinnig House』

「家具を置いてインテリアなどを見せるモデルルームではなく、暮らし方を見せるモデルルームです。今後は食がテーマの平野氏の部屋でケータリングパーティを開くなど実際の暮らしを体験できる提案をしていこうと考えています」。

代官山で代官山に住む人が選ぶ暮らしが提案できるとしたら、広域渋谷圏に点在する松濤、南平台といった住宅地でもそれぞれの暮らしにあった提案ができるかもしれません。感度の高いまち、代官山での反応がどのような形に結実するか。期待したいところです。

PHOTO GALLERY:I TYPE

Iタイプ、121,69㎡の2LDK。リビングは31.4畳、メインベッドルームは9.5畳、もう1室は8.6畳となっています。リビングはもちろん、各居室も格式を感じる折上げ天井となっており、間接照明が用意されています。

Forestgate Daikanyama Residence
Forestgate Daikanyama Residence
Forestgate Daikanyama Residence
Forestgate Daikanyama Residence
Forestgate Daikanyama Residence

PHOTO GALLERY:B TYPE

Bタイプ、64,72㎡の1LDKはリビングが19.2畳、ベッドルームは7.8畳。比較的コンパクトな住戸ですが、両開きのリネン庫、その他たっぷりと収納が用意されており、荷物の多い方でも安心でしょう。緑はリビングの正面に配されています。

Forestgate Daikanyama Residence
Forestgate Daikanyama Residence
Forestgate Daikanyama Residence

Shibuya Sakura Stageで高まる渋谷との回遊性

2023年11月には渋谷桜丘エリアの再開発「Shibuya Sakura Stage」も完成する予定で、代官山と渋谷は同敷地を通じてよりアクセスしやすくなります。今でも地元では渋谷~代官山間は歩いているという人も多いそうで、今後はより歩いて移動する人も増えるでしょう。

Forestgate Daikanyama ResidenceShibuya Sakura Stage

それでも代官山の代官山らしいローカル感は大事にしていきたいと小田氏。

「地元の方はよく、おおいなる田舎という言い方をされます。テナント選びでは、外から人やお金を引っ張ってくることも大事ですが、それだけではすぐダメになります。

地元の人にも愛され、大事にされなければ長くは続きません。そのためには緑や暮らす感覚を忘れないようにしたいもの。住宅が根っこにある会社ですから、特に暮らしについてはこだわりたい。開業したばかりですが、長く地域の人に愛される場になるように今後はソフト面に力を入れていきたいと考えています」。

Forestgate Daikanyama Residence

建物ができたらおしまいではなく、目指す未来のために、地域と都心の繋がりのためにさまざまな取り組みが予定されているフォレストゲート代官山。代官山という地域に留まらない大きな存在になっていきそうです。

【取材協力】

東急不動産株式会社

東急住宅リース株式会社

株式会社ケン・コーポレーション

アール・エー・アセット・マネジメント株式会社

【文・構成】

中川寛子(なかがわひろこ)
東京情報堂代表。街選びのプロとして首都圏のほとんどの街を踏破した、住まいと街の解説者。
早稲田大学教育学部で地理・歴史を学び、卒業後は東洋経済、ホームプレス、東京人その他の紙、ウェブ媒体で編集者、ライターとして記事、書籍等を手がけており、主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)、「解決!空き家問題」「東京格差」(ちくま新書)その他著書、かかわった本多数。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。宅地建物取引士、行政書士有資格者。

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