ぐっすり眠れる寝室の選び方、作り方

忙しいビジネスマンや瞬時の判断を求められる責任ある立場の人には健康は何より大事。そのためにはぐっすり眠ることが第一ですが、日本睡眠学会の調査によると、日本人の5人に1人は「よく眠れない」という悩みを持っているのだとか。しかし、多くの睡眠の悩みは寝室の選び方、作り方で解決できます。ここではぐっすり眠れる寝室の条件を多面的に見ていきましょう。

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住戸内の位置、広さから静けさ、寛ぎ度をチェックする

まずは間取図を見てみましょう。チェックすべきは住戸内での寝室の位置とその広さです。位置で気にすべきは音。敏感な人の場合、図書館並みの静けさがないと眠りの質が落ちるといいますから、音に悩まされなくて済むかどうかは大事なポイントです。具体的には人通りの多い公道や外廊下に面していないか、トイレその他の水回りの音が聞こえないか、生活時間帯の異なる家族がいるならリビングの音が気にならないかなどが注意事項。自分が借りようとする部屋だけでなく、上下左右の住戸の間取図もチェック、ベッドルームの上や脇に隣家のトイレ、バスルームなどがあるような事態は避けてください。

部屋の形状、使用するベッドのサイズなどにもよりますが、夫婦2人の寝室なら最低でも6畳以上は欲しいところ。サイドテーブルやライトその他を置いてゆったりした空間を作りたいなら8畳以上が目安です。ただし、スペースがあるからと言って余分な家具は置かないこと。ごちゃごちゃした空間は圧迫感や落ち着かない印象を与え、安眠の妨げになります。

また、地震時に住宅内で被害を受けた人の9割は寝室で被災しています。それを考えるとベッドの高さ以上の家具やシャンデリア、花瓶など割れる可能性のある品はできるだけ置かないこと。ベッドのヘッドボードの上に額を掛けるなどもってのほかです。

プラティーヌ新宿新都心
角部屋であれば隣戸と接する部分が少なく、静かな環境が手に入る可能性が高い。同様に最上階もお勧め

温度、湿度、照明など室内環境をコントロールする機能も大事

快眠できる室温は夏は25度前後、冬は12~14度、布団の中は季節に関わらず33度、湿度は50~60%がベストです。最近は24時間換気システムが導入されているので、温度、湿度は比較的安定しているはずですが、排気のみを機械で行う第三種換気の場合は時にバランスが悪くなることがあるので注意が必要。機械に頼りっきりにせず、窓を開けて換気する習慣をつけましょう。特に朝、起き抜けに窓を開けて風を入れると夜間室内にこもった匂い、湿気が消えるので効果的。寝る前にも再度換気をしておくと、気持ちよく寝られるようになります。

設備ではエアコンの位置は要チェック。風が直接体に当たると、体の一部が冷え、風邪や冷え性の原因になるからです。特にスタジオタイプの部屋ではベッドとエアコンの位置関係を必ず見ておいてください。

心地よく眠りに付くためには照明も重要。脳は蛍光灯のような白色の光を見ると昼間と勘違い、活性化してしまいますから、寝室には必ず夕焼けを連想させる暖色系の照明を使うこと。できれば夕食後から少しずつ照明を落としていくと、脳内でも眠る準備が始まります。こうした光のコントロールを自在にするためには調光器があると便利です。

就寝時は消灯するのがベストですが、暗闇が不安、トイレによく起きるなどという方はフットライトを利用するのが手。ベッドからは直接光が見えない、でもぼんやり明るいという程度が睡眠を妨げず効果的です。また、トイレまでの廊下部分も同様に足元だけを照らす照明にしておくと、脳への光の刺激が少なく、完全に目が覚めて眠れなくなることがなくなります。

nel碑文谷
エアコンとベッドの位置関係は要チェック。写真のように離れていて、直接風が当たらないのがベスト

色や素材、質感にもこだわり、快適空間を演出しよう

寝室では落ち着く色、いわゆる沈静色を基本にしたコーディネートが快眠を誘います。具体的には緑系統や深みのある青など。ただし、あまり青ばかりだったり、明るい色だと意識が冴えてしまうので、明度、彩度ともに低めの色がお勧めです。

ちなみに赤やオレンジは興奮色と言われ、アドレナリンの分泌を高め、脈拍が増す作用があるため、寝室には不向きとされています。もし、どうしてもこうした色を使いたいときにはベッドカバーのように寝てしまうと見えない部分に使う、あるいは淡いオレンジなど刺激の弱い低彩度の色にするなどの工夫をしてください。

部屋全体では天井から壁、床と段々に明度が落としてあると落ち着いた雰囲気になります。

寝具その他、体に触れるものは質感にもこだわりましょう。ベストはさらりとした肌触りのオーガニックコットンやシルクなど。ジャージやスウェットは意外にごわつき、寝ていても体の緊張がほぐれないので避けたほうが無難です。シーツその他も含め、汗や匂いを残さないよう、こまめな洗濯もお忘れなく。

床材でお勧めはカーペット。毛足の長いものであれば、防音効果も期待できますし、夜間起きたときにひんやりした感じがありません。フローリングの場合には足元にスリッパなどを置いておくと良いでしょう。また、最近は寝室にも床暖房の入った部屋がありますが、これならフローリングでも快適です。

Brillia ist 三軒茶屋
落ち着いた色目でまとめられた寝室。照明は天井に直接設置されており、ぶら下げるタイプに比べ、地震時にも落下の危険がなく安心

朝日の入る住まいで目覚めたときから快眠対策を

最後に、目覚めたときから始める快眠対策として、朝日が入る家を選ぶことを挙げておきましょう。人間の体内時計は1日25時間で回っていますが、太陽の自転は24時間。朝日を浴びるとそれがリセットされ、夜には自然に眠くなるのだとか。つまり、起きてすぐに朝日を浴びる生活が送れれば不眠とは縁無く暮らせるというわけです。ただし、朝日が入ればいいので、無理して東向きの寝室を選ぶ必要はありませんので、念のため。

ぬるめの風呂に入る、リラックスするアロマを焚くなど、安眠のためのノウハウは他にも数多くありますが、基本は住まい。ぐっすり眠れる暮らしはリラックスできる空間から始まるのです。

パークキューブ目黒タワー
朝日の差し込む開放的な寝室には収納もたっぷり。家具を置く必要がないので地震時にベッドの上に家具が倒れ掛かる心配がなくなる。テレビなどもベッドから離れて設置したい

取材物件

【取材物件】プラティーヌ新宿新都心、nel碑文谷、Brillia ist 三軒茶屋、パークキューブ目黒タワー

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