TokyoRentコラム

Vol.92愛宕グリーンヒルズ
フォレストタワー
20年目の大変身を見る

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愛宕グリーンヒルズ

04/08/2021

愛宕山の緑や地域の歴史的・文化的な環境を保全しつつ、都市の再生を図るプロジェクトとして誕生した愛宕グリーンヒルズの竣工から20年。住居棟である愛宕グリーンヒルズフォレストタワー(以下フォレストタワー)では単なる原状回復ではない、デザイナーを起用しての住戸のバリューアップが進められています。築年数だけから想起するものとは全く異なる、新生フォレストタワーを見学してきました。

愛宕グリーンヒルズフォレストタワー愛宕グリーンヒルズフォレストタワー20年目を迎えた愛宕グリーンヒルズフォレストタワー。敷地内の植栽の見事さは周辺と比べても際立っている

ナチュラルな色目、雰囲気で
より、広く、明るい空間に

リノベーションは住戸、共用部分それぞれで行われていますが、まずは住戸内から見ていきましょう。最初に見せていただいたのは22階の1BR。専有面積は67.59㎡あり、14.2畳大のリビングダイニングに独立型のキッチン、9.6畳の寝室という間取りです。

室内では様々な部分に手が入っているのですが、リノベーション前、後の部屋を比べてもっとも大きく印象が変わったのは床です。リビングには光沢のある、幅の細いフローリングが張られていたのですが、現在はマットで幅の広いものに。淡い色が選ばれており、木目がよりはっきり分かるようになっています。そのナチュラルな雰囲気に合わせ、巾木(はばき:床と壁がぶつかる部分に設置される建築部材)も以前より目立たないものに。部屋全体を以前より広く感じるのはそのせいでしょう。

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B1タイプのリビングのビフォー(左)、アフター(右)床材、扉、巾木の色合いが変わったことで雰囲気も一新。以下、写真はすべて左がビフォー、右がアフター

寝室の床材は以前と同じカーペットですが、色合いがずいぶんと変わりました。かつてはのっぺりとした均質な印象のあるグレーでしたが、改装後は濃淡を感じる優しいグレーベージュに。微妙なニュアンスのある色で質感が違います。巾木もリビング同様目立たないものになっています。

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同じB1タイプのベッドルーム特に床のカーペットの微妙な濃淡が質感を変え、グレードアップされた印象に

今回のリノベーションでは廊下など共用部も行っていることから、入居者の方々からも関心が寄せられており、リノベーションされた室内を見たいという声も。そうした人たちが一番変化を実感するのはこの部屋というのもよく分かります。足を踏み入れた途端、五感で感じるのです。「いいね」という声が多いのも納得です。

寝室では収納を増設、取っ手のない扉を採用、室内をすっきり見えるような工夫もしています。収納については「増設できる部屋では増設するようにしています」と森ビル株式会社住宅事業部賃貸営業部の川端百合香さん。使う人のことを考えることに加え、見た目も考慮したリノベーションというわけです。

床では玄関の三和土(たたき:玄関や台所などの土間)も変わっていました。以前の部屋では白に赤い縞が入っていたのですが、リノベーション後は白一色ですっきりした空間になっています。

全体的に自然で温かい雰囲気を大事にしているわけですが、ひとつだけ、その空間をきりりと引き締めているのがドア。以前は床とトーンを合わせた木の扉が使われていましたが今回は黒でモダンな印象です。

玄関同様に玄関扉と三和土部分が変わり、よりシックでモダン、落ち着きのある空間に生まれ変わっている
廊下玄関からリビング方向を見たところ扉、床が色、デザインともに変わっており、よりモダンに

水回りも一新、
給排水は交換して新築時同様に

水回りも大きく変わっています。キッチンの設備、照明、内装などに手が加えられています。見学に来た方々からは、天井や手元の照明が新設されたためでしょう、明るくなったという声が多かったそうです。また、それ以上に特筆すべきは給排水が全て交換され、新築時同様の状態になっているという点です。見えない部分にも手を抜かないという姿勢と考えると意味がお分かりいただけるでしょうか。

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明るくなったと評判のキッチン水栓やレンジフードその他ありとあらゆる一式が変わり、新築同様と言えるほど

部屋によっては独立式だったキッチンの壁を壊し、リビングの一部としてオープンなスタイルにする改装も行われています。料理する人だけが作業する場から家族の会話の場へということでしょう、この20年の社会の変化も織り込まれているようです。

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独立タイプだったキッチンをオープンに改装した26階のA1タイプ ※リノベーション後はVタイプクローズドなキッチンが家族の中心となる場に生まれ変わった
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同じ部屋をリビング側から見たところ床、巾木やカウンターの色なども変更されており、より広く見える空間に

バスルームではまたぎの低いバスタブが採用され、入りやすく、手入れも楽になりました。かつてはトイレと洗面台の間にあった壁が撤去され、サニタリーはより広く感じられるようになっています。

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バスルームまたぎが低くなり、入りやすく、手入れしやすくなり、壁面との一体感も増しグレードアップ
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パウダールーム無駄な出っ張り、収納の取っ手などもなくなり、すっきり、広く見えるようになった

細かいところではドアストッパーも変わりました。かつてはドアにフックをかけるタイプのものが用意されていましたが、今回はドアを押し付ければ自動的に止まるものに。利用時にいちいち腰を屈める必要がなくなりました。

愛宕らしさを意識、
モダンながら温かさも

もう1室見せていただいたのが37階の3BR、194.33㎡の部屋。この部屋の場合、何より、大きく変わったのはエントランスホール。入ると正面には黒の観音開きになったドアが2枚あり、壁面には墨絵を思わせる壁紙が張られ、そこにスポットライト。シックで都会的な空間になっており、来客を出迎える場として設えられていました。

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37階の3BRの玄関。すっきりと都会的な空間になっている。壁紙は墨絵の雰囲気のあるアーティスティックなもの

正面の扉を開けると36.4畳大のリビングがあります。モダンな要素が多いエントランスホールに比べると、温かみのある、家具を置きやすい空間となっており、窓の向こうには都心のダイナミックな眺望が広がっています。

モノトーンの閉ざされたエントランスホールから開放的なリビングへの転換がドラマチックなため、案内にたつ不動産会社の中にはあえてエントランスの扉を閉めておいて、お客様の目の前で扉を開くという演出をするというケースもあるとか。確かに扉を開いた瞬間の、光が差し込む風景は印象的です。

このエントランスホールとリビングのインパクトあるコントラストは最初から意図して作られたもの。

リビングダイニングリビングダイニングエントランスホールのクールなテイストから一転、柔らかく暖かい雰囲気。家具も選びやすい

「若い単身者、カップルなどが多い六本木であれば全体を強いデザインでまとめ、尖った雰囲気にしたところだと思いますが、ここ愛宕は単身、カップルからファミリー、年代の高い方から外国人までと多様な方がお住まいになっています。そのため、豊富な間取りを揃え、さまざまな方に選んでいただきやすいよう、モダンながらカジュアルさや温かさも感じるテイストを意識しています。この部屋もエントランスでは都会らしいセンスを感じますが、暮らしの中心となるリビングでは暮らしやすさを大事にしています。多面性、多様性を意識した結果です」。

もうひとつ大事なことは物件のテイストは街の雰囲気に合わせたものであるということと川端氏。

「弊社の場合、それぞれの物件は立地している街に合わせてコンセプト、デザインを考えて作られています。どれもみな、同じというものは作りません。愛宕は古いもの、新しいものが入り交じる独特の雰囲気があり、自然も豊か。リノベーションではそうした雰囲気を室内はもちろん、共用部にも取り入れることを意識しています」。

個々の部屋のデザインは住戸ごとに変わる可能性があるとのことですが、全く同じ部屋はないと思うと、それも楽しみな気がします。

ちなみにこの部屋からは現在工事が進められている虎ノ門ヒルズステーションタワーや虎ノ門・麻布台再開発事業を左右に見下ろすことができます。完成後の虎ノ門に引っ越すつもりで、完成までを見届けたいからとフォレストタワーに住んでいるという方もいらっしゃるそうで、日々、完成に近づく姿を見守るのは楽しそうです。

眺望37階から見下ろす虎ノ門・麻布台再開発事業地広大な谷を開発、緑の空間に生まれ変わる計画で日々変化が眺められる

フロアごとにテイストが異なる
共用部のデザイン

共用部ではエレベーターホール、廊下の変化が大きいところ。フォレストタワーは14階までをサービスアパートメント、15階から30階をミドルフロア、31階以上を高層階としており、インテリアの色、柄、テイストはそれぞれの階で異なります。サービスアパートメントはグリーン&シルバー、ミドルフロアはブラウン&ゴールド、高層階はベージュ&ブロンズを基本としており、どのフロアも土地の歴史、和の情緒を感じる柄が選ばれています。

37階の共用廊下
37階の共用廊下
37階の共用廊下

37階の共用部アクセントクロスは非常に立体的で思わず触りたくなるほど。見る角度によって色合いが変わる。カーペットは愛宕山をイメージしたもの

具体的にはエレベーターホール正面のアクセントクロス、廊下のカーペット、壁、そして照明がリノベーションされており、どのフロアも落ち着いた空間に。アクセントクロスは階によって色、柄は違いますが、どのフロアでも立体的な、箱根細工のようにも見える品が使われており、来客をお迎えする場にふさわしい雰囲気になっています。

14階の共用廊下
13階の共用廊下

左は14階、右は13階の共用廊下日本の伝統的な柄である麻の葉をモチーフに輝きのあるアクセントウォールを配している。カーペットはこちらも愛宕山にインスパイアされた柄とのこと

カーペットは愛宕山をイメージしたデザインが使われており、以前の直線を中心にしたものに比べると、柔らかい、自然を思わせる柄が印象的です。また、住戸入口には文様の多く入った部分を敷き、そこに照明が当たるように工夫されています。我が家にスポットライトが当たっているような、うれしい心遣いです。

個人的には廊下に設置された消火栓の、瀟洒な金色の文字に驚きました。廊下全体の雰囲気に合わせたものでしょう、普通であれば気にしない細かい部分にまで配慮が行き届いているのです。

将来的には順に全戸をリノベーション
築年を超えた価値、愛宕らしさを創出

退去の度にリノベーションを行い、将来的には全戸リノベーションする予定とのことですが、2021年8月現在、リノベーションが終了しているのは11戸で、工事中が14戸。約250戸全てが終わるまでにはまだまだ時間がかかるプロジェクトになりそうです。

「空いた住戸からの全戸リノベーションも、専属デザイナーを入れてのリノベーションもフォレストタワーでは今回が初めてですが、周囲では新しい物件の予定もあり、フォレストタワーらしさをより伝えられるよう、差別化できるようにと考えて進めています。

ご覧いただいたお客様からは20年経っているとは思えないという声が複数寄せられており、築年を超えた価値を生み出したいとも思っています」。

そもそもフォレストタワーは長く住む人が多い物件として知られています。単身で住み始めて結婚して住み替え、子どもが生まれて住み替えと館内で何度も引っ越す人もいれば、気分転換に眺望の違う部屋に住み替える人などもいらっしゃるとか。最近では周辺の開発(関連コラム Vol.88 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーに虎ノ門ヒルズ駅も完成、全貌が見えてきた虎ノ門エリアの今)が進んだことでスーパーマーケットが誕生、生活の利便性が向上するなどうれしい変化もあります。加えて、住戸、共用部が少しずつバリューアップしていくとなれば、選ばれる要素が増えるというものです。

周辺の開発周辺の開発(虎ノ門ヒルズエリア)2014年に誕生した「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(写真中央)に続き、2020年1月に「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(写真左)が誕生した虎ノ門ヒルズエリア。今後、2022年1月に「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(写真右)および、2023年7月に東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」と一体開発する「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(写真手前)が加わる予定。「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」にはスーパーマーケット「福島屋」が入居しており、フォレストタワーからも徒歩圏内(約450m)

【取材協力】

森ビル株式会社

【文・構成】

中川寛子(なかがわひろこ)
借りる、買う、貸す、建てるなど、住まいに関する雑誌、書籍、インターネットなどの編集に携わること20数年。
長らく表参道に暮らし、都心居住の快適さを身をもって実感している。All About「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。

関連リンク

今回ご紹介した物件

  • 愛宕グリーンヒルズフォレストタワー

    住所
    東京都港区愛宕2
    最寄駅
    都営三田線 御成門駅 徒歩4分 他
    間取り
    1LDK
    賃料
    52万円

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