忙しい主婦であれば、効率よく家事をこなせる住まいを選びたいもの。ここでは、実際の物件を参考にして、そのための間取り図の見方、あると便利な設備などをご紹介しましょう。
【間取り】家事動線をチェック、無駄なく動けるかどうかを見る
家事のしやすさを考える場合、家事動線という言葉をよく使います。これは、家事をするときに、人がどう動くかを間取り図上で考えるもの。たとえば、右の間取りではキッチンの横に洗濯機置き場がありますから、料理と洗濯を同時に行う場合、作業する人が動く距離はごくわずかで済みます。洗濯機置き場が洗面室内にあるとした場合と比べて考えると、効率的で無駄がないので、こうした配置を家事動線がよいと表現します。
この間取りでは、洗濯後の衣類をベッドルーム内のクロゼットに持って行く場合、廊下に面して引き戸があるので、そこから出れば、リビングを通ることなく、最短でクロゼットに行けます。キッチン内のごみを外に出すときにも、リビングを通らずに済みますし、買い物後も玄関からそのままキッチンに荷物を運べます。
このように、間取り図上で動きを想像してみれば、家事動線の良し悪しはすぐに分かるというわけです。ちなみに、右の間取り図のような、2箇所に出入り口のある2ウェイキッチンは、家事動線がよく、使いやすいといわれます。この間取りでは、隣接して洗濯乾燥機のスペースがあるため、さらに効率的です。
間取りでは、広さも大きなポイント。ただし、広ければいいというわけではなく、使う人の人数、使い方で、使いやすい広さが決まります。主婦が一人で家事をする場合には多少狭くても、水回りが集中しているほうが効率的ですが、家事サービスを利用する家庭なら、水回りは分散していたほうが、掃除中も音が気にならず、気兼ねもいりません。キッチンも同様で、一人で作業するなら、無駄なく動ける、コンパクトなL字型やⅡ列型などがお勧めですが、複数で使うのであれば、広いアイランド型が使いやすいといった具合。要は自分の使い方次第というわけです。
広いほうがいいのは、収納。収納スペースが多ければ、家具を置く必要がなく、部屋が片付きますし、掃除もラク。室内はもちろんですが、玄関回りや廊下などに大型収納があると、コートや靴、帽子などはもちろん、ゴルフバッグ、スーツケースなどもしまえて便利です。
【設備・素材】キッチン、水まわりを中心に、手間、時間を省く配慮があるかを確認
ここ数年、キッチンや浴室などの水まわりの設備の進化には目覚しいものがあります。キッチンでは食器洗浄乾燥機、シャワー付き水栓、浄水器などに続き、ディスポーザーが増えつつあるのがうれしいところ。これがあれば、生ごみを室内に置いておかずに済み、当然ながら捨てに行く手間も省けます。
また、IHクッキングヒーターやガラストップのガスコンロ、ステンレスやホーローのキッチンパネルなど、さっと拭くだけで汚れが落ちる素材を使った物件も増えています。こうした手入れをラクにしてくれる素材はトイレや浴室などでも使われるようになっています。
浴室では湯量、湯温などをスイッチひとつでコントロールしてくれるオートバスや浴室換気乾燥機能が一般的で、かつ手間を省いてくれるもの。こうした設備はキッチンにあるパネルからも操作できます。また、高額物件であれば、冷蔵庫、オーブン、電子レンジ、全自動洗濯乾燥機など、あらかじめ設置されている設備も多くあります。物件資料に記載がありますから、それをチェックすればどんな設備が設置されているかは一目瞭然。必ず、チェックして、自分をラクにしてくれる設備のある物件を選びましょう。
【共用施設・サービス】敷地内に欲しいのはごみ置き場、宅配ロッカーにフロントサービス
室内だけではなく、共用部にある設備、サービスも家事効率化には役に立ちます。中でもぜひ欲しいのが、24時間利用可能なごみ置き場。自分の部屋からあまり遠くない場所にあるのがベストで、タワーマンションや一部高額物件では各フロアに用意されています。不在がちな人には宅配ロッカーあるいは荷物を預かってくれるフロントサービスも便利なもの。最近ではサイズの違うロッカーを備えている物件も増えています。
主婦も忙しい時代です。間取りや設備、サービスを上手に利用、省ける手間はできるだけ省いて、家族や自分のための有意義な時間を生み出したいものです。
取材物件・取材協力
【取材物件】青山第一マンションズ、麻布第一マンションズ
【取材協力】相互住宅株式会社