【千代田区】地形とハザードマップ
皇居を中心に東と西で異なる地形。
東側は入江のあった低地で水害、揺れに注意、西の台地上にも液状化の可能性
皇居の東は低地、西は台地
千代田区の地形は皇居を中心に、その東側、西側で大きく異なります。皇居、その昔の江戸城は武蔵野台地の突端にあり、そこから東側は日比谷入江と呼ばれた浅い海、江戸前島と呼ばれた細長い半島が広がっていました。
日比谷入江は現在の日比谷から大手町に至るあたりで、このエリア一帯は江戸時代に埋め立てられ、今も平坦な土地です。江戸前島は今の神田から飯田橋にかけてのあたりと言われています。
一方、西側は江戸城に続く台地で、標高は20m以上。大手町界隈の標高は2~5mくらいですから、皇居を挟んでかなり高さが違うことになります。
靖国通りの九段下から九段坂上へは坂を上ることになりますが、ここの17~18mほどの高低差をイメージしていただくと、千代田区の地形が理解しやすくなるのではないでしょうか。
千代田区の標高図
(外部リンク:国土交通省国土地理院)
坂の多いまちだが、土砂災害危険地域は限定的
西側の台地にはお隣の港区ほどではないにせよ、坂がたくさんあります。東京都心部の台地上にあるエリアはどこも坂のまちなのです。千代田区のホームページには56カ所の名のついた坂が掲載されており、前述の九段坂もそのひとつです。
坂のある土地ではあるものの、千代田区の土砂災害ハザードマップによると土砂災害危険区域は永田町、紀尾井町界隈に集中しており、住宅の多い地域ではありません。災害時にそうしたエリアに近づかないようにすることは大事ですが、住宅選びではそれほど気にしなくて良いでしょう。
千代田区の坂
(参考:千代田区ホームページ)
千代田区土砂災害ハザードマップ
かつての入江では震度が高くなる予測
地震に対しては千代田区が災害情報マップを作っています。これには地震動分布、液状化危険度分布の2種類の情報が重ねられており、1枚で両方の危険が把握できます。
地震動については大手町から霞ヶ関にかけての、かつて日比谷入江だったエリアで震度が6強が予測されていますが、それ以外の千代田区の80%以上の地域は6弱。極端に古いマンションなどでなければ、大きな被害にまでは至らない震度と考えられます。
ただし、液状化の危険についてはかなり広範な地域に及んでいます。こちらも震度の部分で書いたのと同じく、建物自体には影響は及ばないと思われますが、周囲の道路やライフラインなどが被害を受けることは十分考えられます。
千代田区災害情報マップ
千代田区は全域が地区内残留地区
千代田区は区内全域が震災時に大規模な延焼火災の危険性が比較的少ないとされ、全域が地区内残留地区に指定されています。高層の建物も多く、在宅避難がベースとなる地域でもあります。
つまり、災害が起きた場合にはしばらくの間、自宅内で過ごす可能性が高いというわけで、そのための備えは必須です。マンションそのものの共用部になんらかの備えがあるかどうかを確認するのはもちろん、我が家にも家族数や生活に合わせた用意をしておくのが安心でしょう。
東京危険度マップ・避難場所等指定図
神田川、荒川、どちらの氾濫かで浸水地域に違い
水害では神田川版、荒川版と2種類の洪水ハザードマップが作られています。荒川が氾濫した場合には秋葉原駅周辺から岩本町駅周辺が、神田川が氾濫した場合には目白通りから白山通りの間の、駅でいうと飯田橋駅から神保町駅の間にかけてが被害を受けるという想定になっています。
想定される浸水深は3mほどで、半地下、1階などに住んでいるのでなければ住戸内に浸水する危険は高くないと思われますが、想定外ということはどんな災害でもあり得ます。また、電気室への水害で停電その他の被害が起きるかもしれません。そうしたことを考えると地震時への備え同様、備蓄その他は考えておくべきでしょう。