【目黒区】地形とハザードマップ
ほぼ全域が武蔵野台地上に立地。
土砂災害、液状化の危険は低いものの、河川が削った谷では水に注意
ほぼ全域が台地上にある坂の多いまち
目黒区はほぼ全域が武蔵野台地上にあります。全体に高台立地というわけですが、台地上にはいくつもの河川が谷を作っており、それが起伏となり、目黒区を坂の多いまちとしています。有名な坂のひとつに目黒駅(駅は品川区に立地)から目黒川に向かって下る権之助坂がありますが、この坂は前回の東京五輪での改修以前は牛馬が登れないほど急坂だったそうです。
目黒区の標高図
(外部リンク:国土交通省国土地理院)
目黒区の坂
(参考:目黒区ホームページ)
区内あちこちに河川が削った谷が存在
目黒区内に谷を刻んだ河川のひとつが目黒川。桜の名所として有名な目黒川ですが、代官山方面からも祐天寺方面からも坂を下ることから分かるように、地域の中では一番低い場所となっており、川沿いは台地上にはあるものの周囲に比べて低い土地となっています。
こうした周辺に比べて低い土地は目黒川周辺、かつて目黒川に注いでいた河川の跡などのほか、都立大学駅や自由が丘駅周辺などかつて川が流れていたエリアを中心に区内のあちこちに存在しています。
高低差がある、急傾斜地のある土地では土砂災害に懸念があり、実際、目黒区でも25カ所が土砂災害警戒区域、そのうち18カ所が土砂災害特別警戒区域に指定されています。
目黒区の土砂災害ハザードマップを見ると危険地域の多くは目黒川沿い、特に左岸側に多く存在しています。RC造の建物では土砂災害での大きな被害は想定しにくいところですが、近隣に居住している場合は、巻き添えになる可能性を考慮し、危険地域の位置を知っておくことは大事です。
目黒区土砂災害ハザードマップ
品川区との境近くには木密エリアが
続いて地震の際の危険度を見て行きましょう。目黒区では地震に対するハザードマップとして建物倒壊危険度、火災危険度、総合危険度の3種類を作成、公表しています。
建物倒壊危険度では品川区の境に近い目黒本町、原町などの一帯、目黒区役所のある上目黒二丁目周辺などの木造住宅が密集するエリアが危険とされており、危険度は5段階のうちの3番目となっています。
このうち、品川区に近いエリアは東京都の不燃化特区にも指定されており、現在、道路の拡幅、建物の更新などが進められています。
目黒区地域危険度マップ(建物倒壊危険度マップ・火災危険度マップ・総合危険度マップ)
地震時に危険とされるのは駅から遠いエリアが中心
火災危険度では上述の地域周辺にランク3の地域が増えるほか、上目黒四丁目にランク4の危険度があるとなっています。細い路地のある傾斜もある土地なので危険度が高いと判断されたのでしょう。
最後の総合危険度ですが、ここでは建物倒壊危険度、火災危険度のエリアに加え、大岡山一丁目もランク4の危険度とされています。これらの中には駅から遠い、集合住宅が建てられていない地域も多いのですが、どこに危険があるかは意識しておきたいものです。
液状化については目黒区全域で可能性は低いとされていますが、かつて川だった地点など一部の場所では、液状化のリスクがあるとされています。
川の近く、川跡近くには水の危険
最後に水の危険についてみておきましょう。目黒区の水害ハザードマップを見るとやはり、危険があるのは過去に川だった地域とその周辺です。2~3mの浸水が予測されているのは目黒川沿いと現在は暗渠になっている支流・蛇崩川沿いに加え、現在は大半が暗渠、道路、遊歩道などになっている立会川、呑川沿いです。
目黒区内ではかつての川跡は緑道、遊歩道などになっていることが多く、日常生活に潤いを与えてくれますが、台風、豪雨などの時には危険もあります。成り立ちを理解し、時としては近寄らないようにすることが大事です。