「TAKANAWA GATEWAY CITY」住む人目線で見たこれからの暮らしを生み出す緑豊かな街の魅力
2014年の記者発表、2020年の高輪ゲートウェイ駅の開業、2025年3月のまちびらきと徐々に姿を現してきた国内最大級のまちづくり「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」。敷地の北端、田町駅寄りには800戸超を擁する住宅が生まれます。100年先を意識した街での暮らしはどのようなものになるのでしょう。東日本旅客鉄道株式会社でTAKANAWA GATEWAY CITYを担当するマーケティング本部まちづくり部門の天内義也マネージャーにこの街に暮らす魅力を伺いました。

都心の広大な車両基地跡地に誕生、
世界と繋がるビジネス、文化を生む街
TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)は山手線田町駅、品川駅間の、元々はJR東日本の品川車両基地のあった土地に誕生した高輪ゲートウェイ駅を中心に生まれた新しい街。基地設備や車両留置箇所の見直しを進めた結果、創出された約13㏊を転用したものです。
「都心にこれだけ広大な土地があったこと自体が貴重です。そこで、私たちがこの土地でまちづくりに挑戦するにあたって考えたのは日本に新しい国際交流拠点を作っていこうということでした」と天内マネージャー。
背景には品川という希少な立地があります。国内各所へのアクセスに優れた品川駅に加え、世界への窓口である羽田空港もすぐ近く。東京の地下鉄ネットワークに接続する都営浅草線泉岳寺駅もあり、国内外どこに行くにも便利な、交通利便性の高い立地は街のコンセプトである「Global Gateway(グローバルゲートウェイ)」という言葉そのものです。

ただ、グローバルゲートウェイというコンセプトは交通利便性だけに留まるものではありません。
「世界中、日本中からいろんな人が訪れ、暮らし、働き、発見をし、成長を遂げて次の目的地に旅立っていくというようなイメージでしょうか。世界に繋がり、日本の地方や文化、生活とも繋がり、さらには未来にも繋がるゲートウェイ。人や情報その他社会のさまざまな要素が交差する場所、そうした広い意味合いがあります」
一方、これまでの品川にはオフィスやホテルなどといった用途ごとの集積はあったものの、多数の用途が集約、連携するような拠点はありませんでした。そこで新しい街はミュージアムもあれば、住居もあるといった都心型の複合開発にしていこうと考えたといいます。そこからビジネスも文化も生まれていくような街です。
「2020年に開業したシンボリックな高輪ゲートウェイ駅に呼応するように街全体をひとつの大きなグランドデザインに沿って検討、積み重ねてきた結果が現在の姿です」

豊かで安全なまちづくりに“3つのキーワード”
印象的な緑はそのひとつ
01. 環境 プラネタリーヘルスの実現
実際のまちづくりでポイントとなる3つのキーワードがあります。ひとつは環境への配慮で、暮らすという観点でもっとも目につくのは緑の豊富さでしょう。
「人間だけでなく暮らしの場となる地球が持続可能で健康であることも意識して取り組んでいます。近年、増えてはきていますが、それでも都市の再開発では視覚的にも、量的にもまだまだ緑が足りていないと考えています。そこで建物の中だけでなく、外側にも快適な緑の空間を作ろうと強く意識してきました。
高輪は武蔵野台地の崖線部分にあたり、元々は在来種の植物の多い、緑豊かな土地でした。ところが長らく線路で海側、山側が分断されており、動植物の行き来が妨げられていました。今回、TAKANAWA GATEWAY CITY内随所に緑の塊が生まれることで長い目で見て生態系にも貢献できるのではないと考えています」
TAKANAWA GATEWAY CITYでは都内最大級の約4㏊のパブリックレルム(Public Realm。公共的領域。所有関係に関わらず、広く不特定多数が利用、認知する空間領域を意味する)があり、東海道五十三次になぞらえた「53 Playable Park」をコンセプトに南北約1km以上にわたる遊び場(Park)が誕生します。そのうちの約2.7㏊には在来種を基調とした樹木が植えられ、周辺の水系、地形、植生を取り込んだ風景が生まれるのだそうです。
ここに住みたいと考えている人には住宅棟の北に生まれるビオトープにも注目したいところ。在来種を中心にした多様な水性植物が作る水辺空間は他にない眺望であり、癒し空間であり、子どものいる家庭には学びの場にもなるはずです。






モビリティの実証実験、
100年先の心豊かなくらしの実現に向けた取組みも
02. モビリティ 人とロボットの共生
鉄道事業者による開発だからでしょう。TAKANAWA GATEWAY CITYでは人の移動に関する実験や取組みが多数行われてきています。駅構内では開業時以来、警備や掃除などを行うロボットに加え、手荷物、軽食、そして人間そのものが移動するためのモビリティの実証実験が続けられており、駅を訪れた人はその姿を見かけたことがあるのではないでしょうか。
街全体でもドローンやロボット配送サービス、自動走行モビリティなどの実験が多数行われてきており、それらの成果は今後、間違いなく私たちの生活を便利にしてくれるでしょう。その最前線で変化を実感しながら暮らすのは楽しそうです。


03. ヘルスケア だれもが100年心豊かに生きられる暮らしづくり
「街自体を100年先の心豊かなくらしのための実験場として位置づけていることもあり、一人ひとりが健康で長生きでき、活動し続けられる世の中の実現、くらしのための実験場も大きなテーマのひとつ。クリニックなど医療機関、アカデミアやスタートアップと連携し街全体でヘルスケアの事業を育てます」
これまでの住宅における変化は間取り、設備など見て分かるものが大半でしたが、これから技術が進めば、微生物や空気、免疫力などといった見えないものが住戸内の環境を向上させたり、新しい素材が住宅そのものを変えたりすることもあり得るかもしれません。一部、未来の暮らしが体験できる住戸を作る計画もあるとのこと。面白そうです。
モビリティ同様、TAKANAWA GATEWAY CITYがそうした新技術が生まれる場になれば、ここでの暮らしにも影響が生まれてくるかもしれません。新しい暮らしを実感できる街というわけです。
住環境を100年先まで守り続けるために
賃貸住宅という選択
800戸超作られる住宅「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE(高輪ゲートウェイシティレジデンス)」はすべて賃貸住宅です。
「これまでも住宅事業自体は手掛けてきたものの、賃貸、しかもこの規模は初めてです。国際交流拠点として人が入れ替わることを想定し、住む人が固定されず新しい人が入りやすい環境を守り続けていくためには賃貸住宅事業にする必要がありました。
不動産事業単体で考えると分譲事業にしたほうが利益を早く手にすることはできますが、100年先を見据えてまちづくりをするためには当社グループでしっかりと保有、管理、街に責任を持ち、未来に向けて変え続けていきたいと考えています」
100年先がどのような社会になっているかは誰も予想がつきません。ただ、どんな変化が起きてもそれに合わせて住まいや街を変化、適合させることができれば住みやすさは変わらないはず。これまでの開発とは一線を画す、新しい取組みが行われている街といえそうです。

ミュージアム、公園に隣接する
こだわりの住環境、教育、安全
続いて住宅の魅力を見ていきましょう。住宅棟は敷地の北端にあり、建物南には2026年春に開館を予定しているミュージアム「MoN Takanawa: The Museum of Narratives(モン タカナワ:ザ ミュージアム オブ ナラティブズ)」があります。これは外周に巡らされた緑と木の回廊が印象的な楕円形の建物で地上6階建て。屋上庭園や足湯、レストラン、本棚空間、月見テラスなどの共用スペースがあり、我が家の庭のように使えます。
また、住宅棟とミュージアムの間には工事の際に発掘された高輪築堤の一部を保存した公園も作られます。敷地全体で公園、緑が多いだけでなく、住宅棟周辺は特に豊かな自然に囲まれた地域となっており、北側には前述したようにビオトープも。利便性と自然を満喫できる場というわけで、子どもの情操には良い影響がありそうです。もちろん、大人にとっては癒しの空間となるでしょう。

国際交流拠点ということで家族を連れた外国人ファミリーの居住を想像すると教育は大きなポイント。そこで住宅棟低層階には「東京インターナショナルスクール(TIS)」が開校します。日本で数少ない国際バカロレア認定校であり、国際色豊かな学校です。

生活を便利にしてくれる施設としては2025年9月12日に開業、「NEWoMan TAKANAWA(ニュウマン高輪)」も挙げておきましょう。これまで高輪周辺に大型スーパーその他が少なかったこともあり、成城石井、明治屋といったスーパーマーケットの出店は地元の方にも好評。調理器具で有名なVERMICULARが出したベーカリー、結婚式場八芳園が初めて手掛けた新ブランド八芳園洋菓子店なども話題を呼んでいるそうです。

鉄道事業者ということもあり、敷地内の安全にはこだわったと天内マネージャー。
「敷地が細長いこともあり、駅から住宅棟までは少し離れていますが、その間、車と人の動線は交錯することなく、明確に分かれていて安全。都心というのに駅前に噴水があり、そこで子ども達が水遊びをしている風景が見られる、安心して暮らせる街です」
ちなみに不動産的には土地は四角いほうがロスがなく、使いやすいとされるものの、ここでは細長さを武器に歩いて楽しい街が意識されています。安全であることはもちろん、道幅が広くて歩きやすく、緑があり、ところどころで買い物その他も楽しめる、そうした工夫でウォーカブルになっているのです。
「京浜東北線、山手線に乗っているとTAKANAWA GATEWAY CITYは非常に目立ち、存在感があります。どこに住んでいるかを聞かれた時、誰にでも分かるあの街!と思いだしていただきやすい場所になっていると思います」


規模を活用して地下に発電機を設置、
災害時にも電気が使える仕組みを構築
安全面では防災も気になるところ。TAKANAWA GATEWAY CITYでは平常時から多重化された電源供給ルートを用意、不測の事態が起きて一部が使えなくなっても他ルートがそれを補い、電力が途絶えないように発電できる仕組みを整えています。
「平常時から3変電所を経由して弊社で所有する発電所からの電気を受電するようにしており、どれかが使えない場合でも他のルートが使えます。また、それぞれのルートにバックアップがあるので、全体では6重構成になります。
それが全部使えない場合にはこれまで破断したことのない中圧ガスを使って発電を行い、さらにそれが使えない場合には敷地内に備蓄してある燃料を使って発電を続けることになっています」
また、地下にある2万立米、50mプール8個分に相当する国内最大級の蓄熱槽では水にエネルギーを蓄え、ここで作った冷水、温水を地域全体に供給。環境性能の高いエネルギーで冷暖房エネルギーの削減に寄与するとともに、災害時には一時滞在施設等の非常用水として使えるようになっています。

こうした仕組みが作れたのは施設全体の規模があってのこと。
「住宅、オフィス、商業などと複数用途の建物があり、それぞれに電力使用のピークが異なり、全体としては分散されることになるため、大規模な設備が可能になりました。住宅だけのためにこれらの設備を用意しようと考えたら、もっと大きなプラントが必要になり、現実的ではありません。複合化することにはそうしたメリットもあるわけです」

近隣とも付き合い、変えていく
コミュニティのある地域に
TAKANAWA GATEWAY CITY自体は新しい街ではあるものの、周辺は古くから多くの人が住んできた地域でもあり、2021年からは地域を巻き込んだコミュニティ活動も行われてきました。具体的にはビールの原料でもあるホップを周辺地域の事業者、学校、住民とともに育て、実際にビールにするまでの作業を行うというもの。
さらに最近では高輪ゲートウェイ駅内のストリートピアノを起点に音楽コミュニティが生まれたり、養蜂が始まり、それに関わる人たちが集うなどの活動も行われており、いずれはここに住む人達がそこに参加してくれることを期待していると天内マネージャー。
「高輪周辺は六本木や渋谷、新宿などよりも周囲に住んでいる人が多く、都心の開発では珍しいほど。そうした昔からこのエリアに住んでいる人達と新しく住むようになる人達が交わり、コミュニケーションのある地域にしていければと考えています」
人の交流は地域を楽しく、活性化させてくれるもの。地域が面白ければ住んでいる人の満足度も上がりますし、何かあった時には助け合うこともできるように。TAKANAWA GATEWAY CITY内部だけでも暮らしに必要な要素は揃いますが、さらにプラスアルファがあればより毎日が楽しくなるのではないでしょうか。

インフラを支える会社から暮らしを支える会社へ、
新しい試みのある街に住まうということ
以上、話題の続くTAKANAWA GATEWAY CITY、そこに誕生するTAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCEについて簡単にご紹介してきました。最後にひとつ、少しこれまでと違う観点からこの街に住む楽しさについてお伝えしましょう。それはこの街が歴史を振り返った時に意味のある場所になるかもしれないということです。
取材を通じてTAKANAWA GATEWAY CITYはある意味、都市や住宅の転換点にあるように感じました。事業者であるJR東日本は鉄道という、社会の重要なインフラを支える会社ですが、これを機に暮らしを支える会社への転換を図ろうとしています。
「150年以上、インフラを支える会社として事業を続けてきましたが、今回のプロジェクトではインフラの範囲を広げ、暮らしを作る会社に変わっていこうとしています。そのために数多くの、これまでになかったことに取り組んでいます」
高輪は150年前に日本ではじめての鉄道が走ったイノベーションの地であり、長らく車両基地という日の当たらない存在として日本の発展を支えてきた地。それが生まれ変わり、次の時代の暮らしを実験する場として新しい始まりを迎えます。もう一度この地が表舞台にあがり、そこで何を生むことになるのか。時代の変化に敏感な人なら見定めてみたいと思うのではないでしょうか。

また、首都圏の重心は明治以降、西へ、西へと移動してきました。そして、それは今、高輪、品川などを中心としたエリアにまで来ています。
「既存の街は変化に対応しきれなくなってきており、新たな場所が必要になってきているのかもしれません。そこに高輪などを中心とした広域品川圏があった。そこに見た目だけでなく、見えないところも最先端の、変化し続ける街を作ろうという計画です」
ほとんどの人にとって100年先は見届けられない世界ではあるものの、そうした未来を感じられる場所に住むのは楽しく、刺激的。そう思える人ならきっと楽しい暮らしができるはずです。

取材協力
東日本旅客鉄道株式会社
株式会社ジェイアール東日本都市開発
プロジェクト概要
【事業主】東日本旅客鉄道株式会社
【貸主】株式会社ジェイアール東日本都市開発
【管理】JR東日本レジデンシャルサービス株式会社
【貸主代理】アール・エー・アセット・マネジメント株式会社
【媒介】株式会社ケン・コーポレーション