リノベーション物件のメリットとは?

これまで日本では、古くなった建物には価値がないものとして、取り壊して新築するという考え方が主流でした。しかし、日本の建築の優秀さ、環境への影響を考えると、違う方法があるのではないか。その試みのひとつが、リノベーションです。ここでは、実際のリノベーション物件を参考に、そのメリットを探っていきましょう。

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リノベーションとリフォーム、その違いは?

ここ2年~3年、古くても価値のあるマンションを評価しようという考え方が一般化しつつあります。新しい=良い、古い=悪いといった単一の見方ではなく、年月を経た佇まいや風格をもうひとつの価値として認めようという考え方で、いわゆるヴィンテージマンションと呼ばれる、主に都心の希少立地の物件などがこれに該当します。

ただし、古い物件の場合、歳月を経て良くなる部分とは別に、設備や使い勝手、防犯体制などは間違いなく陳腐化しますし、あるいはそもそも付加されていない機能もあります。そこを補い、今の生活にふさわしく作り直す、それがリノベーションという作業です。

ところで、ひとつ、疑問を持たれることと思います。住まいを新しく、きれいにする作業にはこれまでリフォームという言葉が一般的でした。リノベーションは比較的新しい言い方です。では、その2つにどのような違いがあるのでしょうか。

ホーマットサン
現在建設中の東京ミッドタウンの裏手、六本木通りから少し入った住宅街にあるホーマットサン。築20年だが、手入れの行き届いた外観は落ち着いてこそすれ、古い印象はない

私はそれを、災害時の、復旧と復興の違いと説明したいと思います。災害で分断された水道や電気を元に戻す作業が復旧で、以前よりは災害に強くなるような工夫を加えることはありますが、それ自体が全く新しい発想で行われるものではありません。しかし、街を復興する際には、災害に強いだけではなく、住む人に優しい、より暮らしやすい街にしようと、新しい試みが行われます。それが復旧と復興の違いであり、リフォームとリノベーションの違いに通じるものではないかと思うのです。

さて、実際のリノベーションでは、建物全体、住戸単位と大きく2種類のやり方があります。共用部分などを含めたリノベーションが行われていれば、建物全体のリノベーションに分がありますが、これは作業内容次第。また、特に住戸単位でのリノベーションでは、建物の築年数に目が行きがち。数字だけを見て「古い」と決めつけてしまうと、良い物件を逃すことにもなりかねませんから、ご注意を。

足回りの良さ、敷地のゆとりは古い物件ならではのメリット

では、実際の物件訪問です。今回、訪れたのはリュゼ桜新町、リュゼ学芸大学の2物件。いずれも大手生保会社の社宅として使われていた建物をリノベーションしたもので、一般の住居用としては、初めて市場に出ることになります。建物としては、13年(リュゼ桜新町)、8年(リュゼ学芸大学)ですから、それほど古いというわけではありません。

まず、メリットとして挙げられるのは立地でしょう。それぞれ最寄駅が人気沿線であるだけではなく、特にリュゼ桜新町は駅から徒歩5分、駅前の桜並木の通りに面した立地。足回り、生活に便利であることはもちろん、季節を感じられる場所でもあります。

しかも、通りから建物内に入ると、全43戸に対して40台分の、広々とした平置きの駐車場があり、その贅沢な敷地の使い方に驚かされます。これから、土地を取得して新たに建築するとしたら、このようなゆったりした作り方はまず不可能でしょう。これはリュゼ学芸大学にも共通した、第二のメリットです。また、敷地内の、歳月を経た豊富な緑も新築では得にくいメリットといえます。

リュゼ桜新町
駅前のバス通りとは反対方向から見たリュゼ桜新町。周辺は一戸建ても多い住宅街で、交通量も少なく、驚くほど静か(2007年1月内装・外装一部リノベーション完成。写真は2006年12月撮影)
リュゼ学芸大学
環七から駒沢通りを経て、学芸大学駅に向かう通りに面したリュゼ学芸大学。駒沢公園やめぐろ区民キャンパスなどにも程近い立地だ(2007年1月内装・外装一部リノベーション完成。写真は2006年12月撮影)

スケルトンからのリノベーションで、間取り、装備は新築同様に

両物件とも、壁、柱、床など、建物の躯体部分以外を取り払った、スケルトン状態からリノベーションが行われています。そのため、間取り自体が以前とは大きく異なっています。以前も今も同じ3LDKではあるのですが、田の字型に配された以前の間取りは専有面積が85㎡以上あるにも関わらず、部屋が細切れになった印象があり、広さを感じないものだったとか。どこに住んでも、同じ居住環境を支給するという社宅の考え方からすると、大事なのは専有面積、つまり平面としての広さだったからです。

しかし、リノベーションにあたっては、広さを平面としてではなく、立体、空間としてとらえ、「今の暮らし」に合わせた空間、住まい方の提案として間取りが考えられています。具体的には友人が集まるライフスタイルを意識、多人数でも利用できるオープンキッチンを中心にした20畳以上のリビングダイニング、必要に応じて開閉して使える居室、美しい暮らしのために欠かせない、必要な場所に配された収納などなど。実際の専有面積以上に使える、使い勝手のいい、美的にも満足できる空間というわけです。

もちろん、キッチンや洗面所、浴室などの設備も全て最新のもの。過去にはなかったインターネット常時接続サービスや浴室乾燥機、食器洗い乾燥機なども導入されています。住戸内だけではなく、新しいセキュリティシステムを導入、宅配ボックスを設置するなど、建物全体でのレベルアップが図られてもいます。

リュゼ桜新町の室内写真

リビング
右手の洋室との間は半透明の引き戸で仕切られており、開け放して使うこともできる
ベッドルーム
住戸内で古さを感じるのは、段差や天井の低さなどだが、ここではそうした印象を受けることはない
キッチン
ホームパーティーを想定した使いやすいオープンキッチン。壁際の収納には冷蔵庫置き場も含まれている
バスルーム・パウダールーム
広々とした水まわり。もちろん、フルオートバスで浴室暖房乾燥機能など最新式の設備が導入されている

そして、なにより大きなメリットは同じ条件の新築より手ごろな賃料

さて、最後に大きなメリットとして挙げられるのが賃料です。たとえば、リュゼ桜新町を同じ最寄り駅から徒歩9分、昨年秋の新築物件と比べてみると、賃料の坪(3.3㎡)単価は約1万1500円と1万1700円となり、リュゼ桜新町のほうが1坪あたり200円程度安いという計算に。さらに、リュゼ桜新町は礼金無で、近隣物件が2カ月となっているため、礼金を加味した坪単価比較にすると、近隣物件は1万2700円で、その差は1200円に開きます。部屋によって広さは多少違いますが、85㎡での賃料差にすると、3万円ほど。毎月のことですから、この差はかなり大きいでしょう。

また、駐車場料金は2万5000円~。近隣で見ると、駅から10分前後で3万円~が多いことを考えると、お得な感じがします。リュゼ学芸大学の駐車場料金も相場が3万円~の地域にあって、2万円と、手ごろな設定です。

リュゼ学芸大学 駐車場
この地域ではここ2~3年、新築分譲マンション供給が相次いでいるが、すべて平置きという駐車場はほぼゼロ。半分は機械式というケースが大半だ

敷地内に入った時の年月の醸し出す風格の印象と、室内に入った時のまっさら、使いやすそうな間取り、設備類の印象のギャップは、リノベーション物件ならではのもの。本来両立しない2つのメリットが、こうしてふたつながら手に入るのは、住む人にとってはうれしい驚きでといえるのではないでしょうか。

取材物件

【取材物件】リュゼ桜新町、リュゼ学芸大学

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