04/20/2007 ※update on 08/28/2019
都市計画法では住宅と工場が混在するような事態を避けるため、土地ごとに、その土地に建てられる建物の規模、高さなどを指定しています。これを用途地域と呼び、分類は12に及んでいますが、低層マンションとタワーマンションの最大の差は、この用途地域が違うこと。住居を中心とした、住居専用地域に立地する低層マンションと、それ以外の用途地域(工業地域を除く)に立地するタワーマンションは、おのずと建物の規模、高さなどに差が出てくるので、周辺環境はじめ、それぞれの住まいに与える影響にも当然違いが生じてきます。ただし、低層マンション、タワーマンションという名称に明確な定義はなく、一般に、低層マンションは3階から10階未満を指すことが多く、タワーマンションは20階以上のタワー状のもの、また60m以上は超高層マンションなどと定義されています。
用途地域 | 建てられるもの |
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第一種低層住居専用地域 | 建てられるもの低層住宅のための地域。ごく小規模な住居兼用店舗、小中学校、診療所は建築可能。高さ制限は10mあるいは12m |
第ニ種低層住居専用地域 | 建てられるもの低層住宅のための地域。第一種に加え、コンビニなどの小規模店舗も立地する、高さ制限は10mあるいは12m |
第一種中高層住居専用地域 | 建てられるもの中高層住宅のための地域。中規模な公共住宅、病院、大学と中規模店舗が建設可能。高さ制限は土地による |
第ニ種中高層住居専用地域 | 建てられるもの第一種に加え、小規模のスーパーや広めの店舗、事務所なども建設可能。高さ制限は一種同様 |
第一種住居地域 | 建てられるもの住居の環境を保護する地域。一定規模の店舗、事務所、ホテルに加え、ごく小規模の工場も建設可能 |
第二種住居地域 | 建てられるもの第一種に加え、パチンコ店、カラオケボックスなども建設可能 |
準住居地域 | 建てられるもの住居と自動車関連施設などが調和した環境を保護するための地域。小規模の映画館、車庫・倉庫なども建てられる |
さて、住居専用の地域に立地する最大のメリットは落ち着いた住環境です。たとえば、低層住宅専用地域では小中学校のほかは、150m2までの店舗(第一種ではコンビニも不可)しか建ちませんから、騒音などに悩まされる可能性は極めて少なくなります。交通量も少ないので、子どものいる家庭には安全な場所と言えるかもしれません。一戸建ての多い、お屋敷街に立地する場合には、周囲の雰囲気に合わせた趣、重厚感のある建物も魅力のひとつです。
また、戸建感覚も大きなポイント。たとえば、ガーデン碑文谷ではエントランスを入ると緑の美しい中庭が広がり、開放的でほっとする雰囲気があります。これは、ホテルのような、タワーマンションには得がたい感覚です。また、御殿山ハウスのように、144戸に対して8基のエレベーターを設置、プライバシーを重視した作りになっている物件もあります。車好きには、比較的、地下の平置き駐車場がある物件が多いのも、うれしい点でしょう。
反面、立地によっては外からの視線が気になることがあるかもしれません。規模が小さいことから、共用施設が少なく、管理も夜間は有人ではなく、機械管理が中心になる点も注意したいポイントです。
一方、タワーマンションは大きな建物が建てられる、商業地域から準工業地域までの、本来は住居が中心でなかった地域に立地します。当然、住環境としては静けさには欠けますが、その分、足回りのいい、商業施設なども揃った地域が中心。利便性を重視する人向きです。
また、眺望がいいことはもちろん、規模が大きいことから、ラウンジやカフェ、AVルームなどといった共用施設が充実していたり、24時間の有人管理が可能になるなどの、スケールメリットも見逃せません。地域のランドマークとして、ステータスがある点も、無形ではありますが、メリットといえるでしょう。
反面、外に出るのに時間がかかる、多くの人が住んでいるので建物内で人と会うことが多い、などのデメリットも。その場合は、ラ・トゥールシリーズなど、オフィスの高層階に住居が付置された(※)、比較的戸数の少ないタワーマンションというのも見逃せないでしょう。
それから、最近では、賃貸専用のタワーマンションが増加、借りやすくなっている点もメリットのひとつです。しかも、芝浦アイランドエアタワーなどでは、眺望が楽しめる高さにシングル向きのステューディオタイプや1LDKといった間取の部屋があり、価格的にもシングルにも手が届く状況になっています。