自分たちに合った間取りをみつけよう

よく良い間取り、悪い間取りという言い方を聞きますが、よほど狭かったり、動きにくい配置になっているのでない限り、間取り自体に良し悪しはありません。問題は自分たちにとって、良い、使いやすい間取りかどうか。今回はそうした視点で自分たちに合った間取りをみつけるためのコツをまとめてみましょう。

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自分たちに必要な部屋数、使い方などから希望する間取りのアウトラインを決める

自分たちにとって、良い間取りかどうかを知るためには、間取りに求める条件を明確にしておく必要があります。ポイントとなるのは、部屋数とリビングとキッチンの広さ・形です。

まずは部屋数。ひとり暮らしだから、広々したステューディオタイプがいいという人もいれば、来客が多いから一人でもプライベートとパブリックが分けられる1LDKと考える人もいるでしょうし、子ども2人でも小さいうちは子ども部屋は1部屋で、でも広い部屋がいいと思っている人も。用途と暮らし方を考えながら、何部屋必要なのかを決めましょう。

リビングの広さ・形状は、そこでの過ごし方、使い方から考えます。食事の場とリビングを明確に分けたい、食事時以外も家族全員が集まるリビングがいい、フォーマルなお客様のためのスペースと家族のためのスペースを分けたい……など、求めるものは家族によって異なります。我が家風のリビング像をはっきりさせましょう。

リビング、ダイニングと並んで、使い方によって、広さ・形状を選び分けたいのがキッチン。キッチンには右の図のように、いくつかのタイプがあり、それぞれに特徴がありますから、自分にとって使いやすいタイプはどれなのか、あらかじめ考えておくといいでしょう。また、料理好きならパントリーなど、キッチン専用の収納がある間取りを選ぶ手もあります。

主なキッチンの形は?

間取図から我が家にあった間取りを選ぶ

条件出しが終わったら、次は実際の間取図を見ていくことになります。部屋数、リビングの広さ、キッチンの形状などを伝えて不動産会社に探してもらうなどするわけですが、同じ2LDKでも、各部屋の広さや配置はさまざま。そこで、使い方を考えながら、図面を見ていくことになります。

その際に気をつけたいのは、図面に書かれている広さがそのまま使えるわけではないということ。例えば収納の扉がドアの場合、収納を使うためにはドアが開く広さは開けておかなくてはいけません。通路となる部分も同様です。特に部屋が6畳前後の場合、形やドアの有無などで使える面積には大きな差がでます。

使える部分、使えない部分を意識しつつ、続いて、頭の中で各部屋に手持ちの家具を置いてみましょう。どうも入らない、使いにくそうな配置になるとしたら、その間取りはあまり、自分たち向きではないのかもしれません。

使えるスペース、使えないスペース
使えないスペースをグレーで表示しています。
なお、各部屋では、バルコニーまで行くための通路も必要になりますが、家具の配置などによって異なるので記載していません。
通路となる部分、ドアや収納扉の前には家具は置けません。右側の洋室で見ると入り口のドアが開く範囲、クロゼットまでの通路部分、クロゼットの扉が開く部分、さらにクロゼットの前の人が立つスペースには家具は置けないことになります。

1日の生活の流れに合わせて、図の上で人の動きを想像してみるのも大事。特に家事の動き、家事動線は意識しておきたいもの。例えば、朝、朝食の準備をしながら洗濯機を回すのだとしたら、キッチンと洗濯機置き場の距離はあまりないほうがいいでしょうし、リビングと居室が水まわりをはさんで左右に分かれている間取りなら、掃除機は住戸の中心部分に収納できたほうが便利でしょう。短時間に集中して家事をこなす、あるいは他人に任せているというような場合なら、キッチン脇に家事スペースが別途設けられているような間取りも便利です。

部屋の配置では、プライベートとパブリック、子どもと親の距離なども考えておきたいところ。フォーマルな来客が多い家なら、ゲストを通す場と子ども部屋やバスルームなどが分かれた配置がいいでしょうし、トイレも2カ所は欲しいところ。同じ来客でも気の張らないお客さんばかりなら、リビングと各部屋がつながっている間取りでもOK。子どもが小さいうちなら、子ども部屋は寝るだけの広さがあればいいという考えもありますし、中学生以上、独立心を重視するならある程度の広さで、親の空間からは離れていたほうがいいと考える人もいます。教育方針なども含め、親子の関係にふさわしい間取りを考えたいものです。

配置と同時に、どの部屋がどの方角かも見ておきたいポイント。リビングは明るい南向きが好まれますが、朝早い家庭なら東向きのほうが朝から日が入って快適ということも。書斎は北向きで多少温度の低いほうが集中できますし、朝ゆっくり寝ていたい人には東向きの寝室は不向きなど、使う目的によって、どの方角がいいのかは異なります。用途を考えながら、見ておきましょう。

ネット上のパノラマ画像などで部屋のイメージをつかむ

最近では、間取図に加え、室内の画像が見られる物件情報サイトが増えています。間取図からは平面としての情報しか得られませんが、画像なら立体としての室内を知ることができます。壁の色目、内装のテイストなども分かりますから、自分の好みに合うかどうかも一目で判別できるというものです。さらにバルコニーの外の様子などが撮影されたものであれば、気になる日当たりや眺望も知ることができます。

また、TokyoRent.jpでは、パノラマ画像を掲載している物件もあります。180°または360°の室内写真であれば、リビングからキッチンはどこまで見えるのかなど、部屋のつながりや見え方が分かります。また床や壁だけでなく、天井の色や高さなども確認することができます。そこに立っているつもりで、間取図を合わせて画像を見るのがポイントです。

現地では五感をフルに活用、広さ、高さ、使いやすさを実感

間取図や画像でおおまかな室内のイメージを掴んだら、最後は実際の部屋を訪問、そのイメージを確認、自分たちに向いた間取りかどうかを確認しましょう。内装の質感や広さ、高さの感じはやはり、現地でなければ分からない点。特に玄関や廊下、トイレや水まわりなどの広さや柱・梁の出っ張りが与える圧迫感などは、数字や図面からは分かりにくいものです。

また、使う人の身長によって、使いやすい洗面台やキッチン、キッチン収納の高さは異なります。キッチンでは、作業するつもりで立ってみると、自分に合った高さかどうか分かります。ちなみに、ジャストサイズのキッチンでないとしたら、低いよりも、多少高めを選ぶほうが後々ラク。というのは、低いキッチンは屈んで作業することになり、腰が疲れますが、高めなら高さのある室内履きを履く、厚手のマットを敷くなどで、カバーする手があるからです。

あなたにあったキッチンの高さは?
理想的なキッチンの高さを出す数式としては「(身長÷2)+5センチ」がありますが、もうひとつ、肘の高さから見る上図のような算出法もあります。これは軽く肘を曲げて立ったときの床から肘までの下端までの寸法から140ミリを引くというものです。一般的に身長155センチなら80センチ、165センチなら85センチといわれています。

間取図に記載されているとしても、窓の高さ、収納の高さ、奥行き、内部の仕様も現地で見なければ分からない点。収納では、どこに何を入れるのか、どのくらい入るのかを考えながら、開け立てしてみると、その間取りの使いやすさが分かってきます。掃除機など住戸内全体で使うものや、ゴルフバッグなど大型の品を入れる場所のない間取りは使いにくいことが多いので、注意が必要。大型の納戸やウォークインクロゼットなどがあると、まとめて収納しておけるので便利です。

窓の高さは、コンセントの位置同様、家具や家電の配置を左右します。置きたい場所に置けるかどうかを配置を考えながら、各部屋をチェックしていくといいでしょう。

こうした、実務的なチェックのほかに、もうひとつ、大事なことは、その部屋を自分たちの住まいと思えるかどうか。抽象的な言い方ですが、人と住まいには相性があります。その部屋で暮らす自分たちの毎日がイメージできるなら、その部屋はあなたにとってベストな住まい。じっくり間取りを見て、そんな住まいを探してください。

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